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大河『べらぼう』“こじらせ隠キャ”な恋川春町が…闇堕ちからの、殻をぶち破り天才・酒上不埒が爆誕!【前編】

大河『べらぼう』“こじらせ隠キャ”な恋川春町が…闇堕ちからの、殻をぶち破り天才・酒上不埒が爆誕!【前編】:3ページ目

陽キャの蔦重と陰キャの天才・恋川春町

ただでさえ、苦手な場所なのに、自分の『辞闘戦新根』(ことばたたかいあたらしいのね)をちゃっかり下敷きにした、北尾政演(山東京伝/古川雄大)の『御存知商売物』(ごぞんじのしょうばいもの)のほうが評価高いことに鬱屈した思いを抱え、盃を重ねて悪酔いしていきます。

「手を抜くことは読み手に失礼」と悩むほど、仕事に対して真面目な恋町。自分の作品に乗っかり、苦労もせずに書いた政演の本の評価が高いのは、さぞかし悔しい思いだったでしょう。

そのうえ、政演は自分とは真逆の社交的な“陽キャ”であることも癪に触ったのだと思います。その政演が「耕書堂で錦絵の大仕事をやる」とペラペラと大声で自慢しているのを聞いて、ブチギレてしまいます。

蔦重や朋誠堂喜三二(尾美としのり)がとりなすも、政演を批判する狂歌を読み、お膳を蹴飛ばし、今度は太田南畝をこき下ろす狂歌を叫び……と大暴れ。

けれども面白かったのが、酩酊状態で闇落ちするほどに、キレキレの批判魂がこもった文才が覚醒したところ。やはり、この人は真の天才ですね。

実際に、恋川春町という人は、安永4年(1775年)に、『金々先生栄花夢』で黄表紙といわれるジャンルを開拓し“黄表紙の祖”と評されるほどの人物です。

普段は、真面目すぎるほどの恋川春町が、酒によってリミッターを振り切り、超毒舌の才能を発揮する……という流れで描いたのは、非常に面白かったと思います。

4ページ目 次郎兵衛兄さんが絶妙なタイミングで払った“屁”も逆効果

 

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