
大河『べらぼう』“こじらせ隠キャ”な恋川春町が…闇堕ちからの、殻をぶち破り天才・酒上不埒が爆誕!【前編】
「あれから三年か」……
蔦屋重三郎(横浜流星)が、ちらほらと雪が降り始めた夜空を見上げてつぶやいた言葉。
平賀源内(安田顕)が、獄中で非業の死を遂げたあの夜も、雪が舞っていました。蔦重が源内の墓の前で“「耕書堂」という店の名とその意味を伝えていこう”と誓ったときのことを思い出します。
「書をもって世を耕し、この日の本をもっともっと豊かな国にすんだよ」。
そんな意味を込めて源内が名付けた「耕書堂」では、この夜、現代でいうところの忘年会が開かれていたのでした。
大河「べらぼう」第22話『小生、酒上不埒』、印象的な場面でした。
【べらぼう 解説】屁で復活の春町!そして誰袖「危険な間者ごっこ」の行方は?6月8日放送の振り返り
蔦重を中心に広がった人脈が集まった「忘年会」
22話『小生、酒上不埒にて』では、耕書堂に、絵師・戯作者・彫り師・狂歌師、お向かいの「つるべ蕎麦」の店主・半次郎(六平直政)も参加した「忘年会」が開催。皆、楽しそうに盛り上がっていました。
宿敵・西村屋の“改め”の仕事を請け負っていた小泉忠五郎(芹澤興人)も加わり、仕事を回してくれた蔦重に礼を言うシーンは、さりげない場面でしたがグッとくるものがありましたね。
「本」はひとりで作れるものではない。作り手がいてこそ完成するもの。
耕書堂に協力してくれる“現場の人々”を呼び、忘年会を開き、盛り上がる様子に笑いながらも、目に涙を浮かべた蔦重の姿が非常に心に残る回でした。
そして今回、ドラマの中で“大きな変化”を見せた人といえば、やはり恋川春町(岡山天音)と、大文字屋の誰袖(福原遥)でしょう。もとから持っていた資質が大きく開花しました。
2人とも実在の人物で、かたや武士・戯作者・浮世絵師とマルチな才能を持った人と、かたや吉原でも教養の高い花魁だった人。
まったく違う人生を歩んで来た2人ですが、両人とも、田沼意知(たぬまおきとも/宮沢氷魚)の死、田沼意次(渡辺謙)失脚の影響を受け、悲劇的な末路を迎えることになります。
今回は、前回・今回の2回のストーリー展開の中で、大きく豹変した(一皮も二皮もむけた)恋川春町を深堀りしてみました。
2ページ目 蔦重は「そう来たか!」なアイデア力があると褒める狂歌師