
「べらぼう」今さら聞けない…実在した人物で蔦重の養父・駿河屋市右衛門(高橋克実)とは何者なのか?:2ページ目
意外と純粋?な感性を持つ歌人としても活躍
それにしても、劇中では本なんて読みもしないようなキャライメージですが、物語を書くような文化人だったとは意外です(階段から投げ転がすのは勘弁してください)。
せっかくならこのエピソードも大河ドラマで演じてくれたら、もっとよかったのに……と思いました。
ともあれ駿河屋市右衛門は文芸に対する造詣が深く、俳諧や狂歌も嗜んでいます。しばしば駿河屋へ俳人を招き、佐藤晩得(さとう ばんとく。佐藤朝四)や中村慶子(けいし。中村富十郎)らと交流したそうです。
また狂歌では『万載狂歌集』に作品が入選したこともありました。
しら露の 玉を穂末に むすへるハ
秋のきつねの 尾花とそみる※四方赤良・朱楽菅江 編『万載狂歌集』より
【歌意】玉のような白露を含んでいるのは、狐の尾を思わせる秋のススキ(尾花)であろう。
涼しい秋風の吹き渡る枯野が目に浮かぶようですが、この美しい情景にどんな「含み」や「穿ち」があるのでしょうか。
あるいは心のままに、すがすがしい気持ちを詠んだのかも知れません。似合わないと言ったら階段から投げ転がされそうなくらい失礼ながら、正直ちょっと意外でした。