「石と水の都」を築いた飛鳥時代の女帝・斉明大王!益田岩船など飛鳥京造営の遺構に秘められた謎を探る【中編】:2ページ目
斉明が斎行する祭祀の場であった「酒船石と亀形石造物」
酒船石は、両槻宮があったと考えられる丘陵の山頂付近に置かれた花崗岩の石造物です。
その大きさは、長さ5.3m、幅2.27m、厚さ1mで、平坦な上面には奇妙な溝が刻まれています。古くから、濁酒を清酒にする設備などさまざまな説が唱えられていました。
しかし、この丘陵の北裾部の谷底で、小判型石槽や亀形石槽で構成される導水施設が発見されたことで、酒船石もこれに関連する湧水施設の一部とする説が有力になっています。
この導水施設は、小判型の石槽で水を濾過し、亀形石槽に貯める構造を採用。導水施設の周囲には、12m四方の石敷があり、中央を亀形石槽からの水が流れ、北方へと石組みの溝で排水する仕組みがとられています。
中国では聖なる生き物とされる亀を象った石槽は、皇極時代に、飛鳥川南淵で雨乞いを斎行し雨を降らせたというシャマニズム的な実力を持つ斉明が行う、水の祭祀に関わる設備と考えてよいでしょう。

