犯罪捜査も上の指示が必要!?鬼平・長谷川平蔵が務めた「火付盗賊改」は意外と制約が多かった:2ページ目
制約が多かった火付盗賊改
このように武力と機動力を持った、いわば特別警察にあたる火付盗賊改ですが、だからといって現代アメリカのFBI(連邦捜査局)のように自由に捜査できるわけではありませんでした。
『鬼平犯科帳』では、与力・同心が犯人を慎重に追跡し、盗人宿(アジト)を特定したのちに人数を揃えて踏み込むシーンが多くあります。しかし、実際の捕物でも安易に踏み入ることはありませんでした。
例えば、追跡中の犯人が町家に逃げ込んだ場合は踏み入って逮捕することができましたが、捜査の結果家屋に犯人がいることが判明し、そこに踏み入る場合には町役人が随行することになっていたのです。
江戸とその周辺の関東八州の治安維持の担当は細かく決められていました。
町人地や寺社門前町は町奉行、江戸の寺社境内や江戸以外の寺社門前町、僧侶や社人などは寺社奉行、幕府直轄地の天領は勘定奉行と配下の代官の管轄でした。
このような分担制度の弊害から、特別警察である火盗改が生まれたわけですが、行政権が無いために制約も多かったのです。
