大河「べらぼう」繁盛しても地獄の吉原。五代目・瀬川花魁(小芝風花)の運命を左右した3冊の本【前編】:3ページ目
瀬川の運命を大きく変える鳥山検校との出会い
ある日、瀬川のもとに、盲目の大富豪で高金利業を営む鳥山検校が来ます。「検校」は名前ではなく「盲人の中での最高の位」を表す言葉です。
江戸時代、盲人男性は「当道座」と言う同業者組合に属したのですが、そのトップに立っていたのが検校でした。「どうせ金持ちの嫌な客だ」と想像していた瀬川ですが、鳥山検校は、いきなり瀬川に双六や本などをプレゼントします。
妓楼では、客と花魁の「初会」の場合、花魁は口をきかない……というしきたりがあるため、「初会では口もきかないで退屈だろう。本や双六を皆で楽しむといい」という鳥山検校の気遣いでした。
その行為に応え「もしよろしければ、1冊読みんしゃいましょうか」と申し出る瀬川。「それではしきたりに反するだろう」と遠慮する鳥山検校に対し「花魁の姿を楽しむのが初会。『声』を楽しんでなんの罰がありましょう」と返します。
実に機転が効く男前な瀬川らしい、粋なもてなしの言葉です。
瀬川が手に取ったのは『金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)』という、有名な本でした。
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大河「べらぼう」繁盛しても地獄の吉原。五代目・瀬川花魁(小芝風花)の運命を左右した3冊の本【後編】
【前編】では、蔦重が手がけた新しい吉原のガイドブック『吉原細見 籬の花(まがきのはな)』が飛ぶように売れたこと。その本で五代目瀬川誕生のニュースを知り彼女目当ての客が激増したこと。繁盛は願ったことなれ…

