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幕末期に日本が植民地化されなかったのはなぜ?徳川幕府の採った対策と欧米諸国の状況から読み解く

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植民地化どころではなかった列強

一方、列強による侵略が起きなかったのは、欧米側の事情も関係しています。幸運にも、各国は日本を侵略している余裕がなかったのです。

まず海洋帝国であるイギリスは、1856年に終結したクリミア戦争の戦後処理が残っていたため、極東の日本にまでは目が届かず、それよりもインドや清国における植民地政策を優先していました。

またフランスも、やはりクリミア戦争の戦後処理や対外関係の緊張があったため余力がありません。日本を開国させたアメリカだって、1861年に南北戦争が始まったことで国内が混乱していました。各国とも、日本を侵略できる状態ではなかったのです。

また、そもそも諸外国は、日本を植民地にする意図が希薄だったという見方もあります。

そもそも、列強が植民地を設けたのは市場と資源・食糧供給基地を確保することが目的でしたが、資源に乏しく平野が少ない日本はプランテーションをつくるのに適した土地ではありません。

しかも、極東に位置する日本に人材や物資を送り、軍隊を常駐させ、行政府を設置し、各種インフラを整えることは、膨大な資金・時間が必要となるため効率が悪いのです。日本は「投資に見合わない植民地」になる可能性が高く、今風に言えば、日本を植民地化することはコスパ・タイパ的に良くなかったということです。

幕府や雄藩が列強による植民地化に危機感を抱いていたのは事実ですが、当時の状況を考えると、日本が他のアジア諸国のような侵略を受ける可能性はもともと低かったとも言えるでしょう。

参考資料:
日本史の謎検証委員会『図解 幕末 通説のウソ』2022年

 

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