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榊原康政(杉野遥亮)が初陣で着ていた「ちぎれ具足」は実在した?『名将言行録』を読んでみる【どうする家康】:2ページ目
「そなたにこれをやろう」
見ると古びた具足が一領。永年使い込んだらしく、所々ちぎれたり破れたりしています。
「いささかボロいが、ないよりはマシであろう。主君のお傍に仕えるのに、具足もないでは戦さ場で笑い者になってしまうぞ」
ここで「くれるならもっと良い物を……」と思ってしまうかも知れません。しかし具足は誰でも気軽に入手出来るものではなかったのです。
きっと金七も、どうにかして小平太のために少しでもよい具足を手に入れてやろうと駆けずり回ったことでしょう。
「ありがとう、ありがとう!」
金七の心意気に感じた小平太は、このちぎれ具足を着て数々の戦さ場へ出陣。武功を重ねたのでした。
終わりに
やがて立身出世を果たし、後世「徳川四天王」に数えられるほどの重臣となった小平太。
※ちなみに他の三人は酒井忠次(さかい ただつぐ。左衛門尉)・本多忠勝(ほんだ ただかつ。平八郎)・井伊直政(いい なおまさ。兵部)。
もちろん具足も新調されましたが、初陣で着たちぎれ具足も欠かさず持って行きました。
常に仲間の想いを忘れず、慢心することの無いように。もしかしたら、小平太が掲げた「無」の馬印には、そんな思いが込められていたのかも知れませんね。
徳川四天王・榊原康政の旗印「無」に込められた意味は?その公正無私な生き様を見よ【どうする家康】
NHK大河ドラマ「どうする家康」では、徳川家の重臣となって立派な具足に身を包んでいる小平太(第33回放送時点)。きっと金七も喜んだのではないでしょうか。
ガラクタ具足も面白くはありましたが、金七との熱い友情エピソードも演じて欲しかったですね。
ちなみに『名将言行録』は江戸時代に編纂された逸話集であり、史実性についてはあまり高くありません。しかし今日伝わっている戦国武将のイメージは多くがこうした文献や伝承に依拠するものですから、それらを全否定したら無味乾燥なものになってしまうでしょう。
また「彼ならやりかねない」「彼ならこんな事もあったかも知れない」など一定の説得力によって伝えられたものですから、人々に愛された通俗的イメージも、大切にしたいものです。
※参考文献:
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