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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る すわっ、乱心か!?家康の命を救った「鬼作左」本多重次のエピソード【どうする家康】

すわっ、乱心か!?家康の命を救った「鬼作左」本多重次のエピソード【どうする家康】

やって来たのは作左衛門。今度は白装束に着替え、手には抜き身の脇差を持っています。

「すわっ、乱心か!?」

まさかこれ以上家康が苦しまぬよう、トドメを刺そう(いっそ楽にしてやろう)と言うのでは……血の気が引いた家康の傍らに、作左衛門は腰を下ろしました。

「御屋形様があたら御命を捨てられるとあらば、この作左衛門、冥途のお供せぬ訳には参りませぬ。今ここで腹を切り申すゆえ、今生の暇乞いを申し上げる!」

そう言って着物を脱ぎ捨て、いよいよ腹をむき出しに。

「誰ぞ、介錯を願おう!」

このまま止めなければ、作左衛門は本気で腹を切るでしょう。そのことは、家康の初陣いらい命を惜しまず戦い続けてきた、傷だらけの身体が物語っています。

「分かった!わしが悪かった……医者の療治を受けるゆえ、腹を切るのは待て!」

あぁ良かった、これで歴戦の勇士が無駄死にせずに済んだ……周囲は胸をなで下ろしたと言うことです。

終わりに

こうしてちゃんと医師の治療を受けて回復した家康は、作左衛門ともども命拾いしたのでした。

あの時、自己流のにわか療治にこだわって命を落としていたら、天下を獲れなかった愚将として終わっていたことでしょう。

そう考えると、家康の天下獲りは作左衛門をはじめとする忠臣たちの、献身的な奉公の賜物と言えますね。

果たしてNHK大河ドラマ「どうする家康」でこのシーンが再現されるのか、今から楽しみです。

※参考文献:

  • 『歴史読本 52巻3号』新人物往来社、2007年3月
 

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