みなさんは、労咳(ろうがい)という言葉を聞いたことがありますか?
これは、現代でいうところの結核で、日本では明治時代初期ごろまで呼ばれていた名前です。
今では結核という言葉も頻繁に耳にすることは少なくなりましたが、労咳と呼ばれていた当時の日本では、たいへんな病気でした。そこで今回は、そんな労咳について詳しくご紹介したいと思います。
労咳とは?
労咳(ろうがい)は、現在でいうところの肺結核です。労咳とは、結核菌による肺の感染症で、主に空気感染をします。ちなみに、ヨーロッパでも「白いペスト」という名前で恐れられました。
労咳の記述は古くから見られ、平安時代の『枕草子』や『源氏物語』などにもその描写があります。古くからある病気ではあるものの、治療薬は20世紀なかばにならないと発見されませんでした。
世界に目を向けると、結核の流行は産業革命と密接な関係があり、例えば18世紀後半のイギリスでは、産業革命とともに結核が流行しました。
日本でも、江戸時代ころから流行を見せますが、「国民病」となるまで大流行したのは、明治以降に産業が発展してからのことでした。主に工場や軍を通じて感染が広がったといいます。