ヴィーガンも真っ青?穀物さえも否定した仏教の過酷な修行「木食戒(もくじきかい)」
「お肉ばっかりじゃなくて、お野菜もちゃんと食べなさい!」
そう母親に言われていたのは、きっと筆者だけではない筈……近年では健康のため、野菜をたくさん摂るだけでなく、肉や魚をなるべく摂らないベジタリアン(菜食主義者)が増えてきたようです。
更には卵や乳製品、蜂蜜などあらゆる動物性の食材を否定するヴィーガン(完全菜食主義者)も時おり話題になっていますが、仏教(修験道)ではそれよりもっと厳しい木食戒(もくじきかい)と言う過酷な修行があるようです。
いったい、どのような修行なのでしょうか。
穀物を断って、心身を清浄に
木食とは、いわゆる腥物(なまぐさもの。肉や魚介類など)はもちろんのこと、穀物や火(で煮炊きした食べ物)さえも不浄のものとして避け、木の実や草の葉や根など、植物だけを食べて生きる修行でした。
穀物には五穀あるいは十穀が指定されることが多く、諸説ありますが主として以下のものが挙げられています。
米、麦、粟(あわ)、稗(ひえ)、黍(きび)、豆、胡麻……など
これらの穀物を食事に摂り入れないことで心身を清浄にするそうですが、どれを選ぶかや、修行の期間に厳密な決まりはないそうで、それだと穀物のチョイスによって難易度が大きく変わってしまいそうです。
それでは有難みが薄まってしまうため「とにかく穀物は全部禁止!」として修行に励み、それをやり遂げた者が「木食上人(又は断穀聖、十穀聖など)」の称号を得たのでした。
しかし、成人の健康を維持するだけのカロリーや栄養を植物だけで確保するのは難しく、即身仏(そくしんぶつ。ミイラ)になるような死を前提とした修行を除いては一定期間をもって満了としているようです。
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