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どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【完】

どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【完】

これまでのあらすじ

どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【一】

平安文学の頂点とも言われる紫式部『源氏物語』。その主人公である光源氏(ひかるげんじ)と言えば、フィクションながら日本史上でもたぐいまれなるプレイボーイとして知られています。本作では、幼くして亡…

どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【二】

前回のあらすじ[insert_post id=112787]『源氏物語』の主人公にして日本史上きってのプレイボーイ・光源氏(ひかるげんじ)は、乳兄弟である大輔の命婦(たゆう-みょうぶ)から…

どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【三】

前回のあらすじ[insert_post id=112787][insert_post id=112796]『源氏物語』の主人公にして平安時代きってのプレイボーイ・光源氏(ひかるげんじ)は、…

さて、光源氏(ひかるげんじ)との交際によって経済援助を取りつけ、どうにか貧乏暮らしを建て直しつつあった末摘花(すゑつむはな)の姫君ですが、その幸運も永くは続きませんでした。

光源氏が、帝の側室である朧月夜(おぼろづきよ)の姫君に手を出したことにより、謀叛の疑いをかけられてしまったのです。

一族を守り、身の潔白を証明するため、光源氏は自ら都を出て摂津国の須磨(すま。現:兵庫県神戸市須磨区)の地へと謹慎。そのてんやわんやによって、せっかくの経済援助もうやむやになってしまったのでした。

(……私以外の男では、とてもお相手が務まるまいから……)

そんなこんなで早三年。元からボロボロだった姫君のお屋敷は誰からも顧みられずますます傾き、見る影もなく崩れていくのでした……。

侍女たちに見捨てられ、荒れ果てた屋敷に独りぼっちの姫君

「姫様……もう諦めましょうよ……」

(まったく、ウチの姫君と来たら……たった一度の間違いを真に受けて、来る筈もない光源氏を待ち続けるなんて……)

その後、奇跡の逆転劇を演じて都へ舞い戻った光源氏ですが、末摘花の姫君を訪ねてくれる様子は一向にありません。

すっかり忘れ去られているのだから経済援助も当然なく、もういよいよ屋敷もつぶれそうなくらいに荒れ果てています。

「せめて、どこかもう少しマシな所へ引っ越しましょうよ……」

「……嫌よ……そんなことをしたら……我が背の君(伴侶=夫のこと。ここでは光源氏)がわたくしを訪ねて来られなくなってしまうから……」

(いやいや……誰もあなたの事なんて訪ねて来やしませんから!)

頑なに光源氏を待ち続ける末摘花の姫君に、侍女たちは愛想を尽かして次々と出ていってしまいました。

今にも朽ち果てんとする屋敷の中、独りぼっちで残された末摘花の姫君。もしかしたら、光源氏を待ち続けたと言うより、もはやどこかへ移り住む気力すら失くしていたのかも知れません。

(……もう幾日も、水しか口にしていない……)

亡き父・常陸宮が自分のために造ってくれたお道具(日用品)でも売れば、いくらか糊口をしのげたでしょうが、こんな自分にかけてくれた父の深い愛情を思うと、とてもそんなことは出来ません。

(わたくしはもう……このまま儚くなって=死んでしまうのかしら……)

すっかり元気をなくした末摘花の姫君は、御簾越しに月を眺めながら、ぼんやり死を待つよりありませんでした。

2ページ目 思えば、悲しいことばかりの人生だった。

 

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