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どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【一】

どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【一】:2ページ目

かわいそうな姫君の噂を聞いて

「……亡き常陸宮の姫君か。是非とも一度、お逢いしたいものだね」

今は昔、乳兄弟(※1)である大輔の命婦(たゆう-みょうぶ)から噂を聞いた光源氏は、早くも興味津々です。

聞けば姫君は、父である常陸宮が亡くなって以来すっかり没落してしまい、侘しい暮らしを強いられているとのこと。

「誠においたわしく、とても放ってはおけない……命婦よ、どうか私を姫君に取り次いではくれまいか?」

当時、光源氏は最愛の恋人であった薄幸の美少女・夕顔の君(ゆうがお-きみ)が生霊(※2)に憑り殺されるというショッキングな事件に遭遇しており、かわいそうな女性を見ると是が非でも我がものに……もとい助けたくなってしまうのでした。

「時に……姫君の御容姿は?」

「……は?」

当然ながら、噂を聞いたばかりの光源氏は、この時点で姫君の容姿を知りません。「かわいそう」という噂だけで、会ったこともない姫君に入れ込んでしまうあたり、流石プレイボーイと言ったところでしょうか。

(まったく……光源氏と来たら……)

しかし、命婦も几帳(きちょう。間仕切り)ごしに窺い見た程度で、姫君の顔をはっきりと見たことはありませんでした。

「でも、御髪(おぐし)はまことに豊かに美しく、流れるようでございました。恐らく器量も相当にございましょうね……」

とか何とかその場を言いつくろった命婦でしたが、これが後で面倒な事態に発展しようとは、この時は思いもしないのでした。

3ページ目 どうにか逢瀬は果たしたものの……

 

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