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旅館にある“謎の窓際スペース”、その名は「広縁(ひろえん)」定番化されるに至った秘められた歴史

旅館にある“謎の窓際スペース”、その名は「広縁(ひろえん)」定番化されるに至った秘められた歴史

くつろぎの空間「広縁(ひろえん)」

旅館の和室に入ると、窓際に小さなテーブルと椅子が置かれた空間がよくありますね。多くの人が自然に腰を下ろし、景色を眺めたり、お茶を飲んだりして過ごす場所です。

あの場所の正式名称をご存じでしょうか? 「広縁(ひろえん)」といいます。日本家屋に古くからある造りで、縁側の幅を広くしたものを指します。

建築の基準では、奥行きが三尺ほどのものが縁側、四尺以上になると広縁と呼ばれます。

広縁は、もともと部屋と外をつなぐ通路としての役割を持っていました。身分制度があった時代には、室内に入れない者が控える場として使われたという記録もあります。

時代が進むと、出入り口としての機能に加えて、人が集まる場、部屋を広く見せる工夫、日射しを和らげるための緩衝帯など、複数の役割を担うようになりました。

南側に設けられることが多く、畳や襖を日焼けから守る効果もあったとされています。

旅館の広縁は、こうした伝統的な造りを受け継ぎながら、現代ではくつろぎの空間として定着しています。

窓際で自然光を浴びながら過ごす時間は、旅の疲れを癒す効果があるといわれています。広縁が「なんとなく落ち着く」と感じられるのは、日本家屋の歴史と生活の知恵が形として残っているからです。

2ページ目 なぜ旅館の標準設備になったのか

 

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