無資格でも医者になれたの?
江戸時代、医者になるのに資格試験はありませんでした。つまり、医者になろうと思ったら誰でもなれたのです。文政3年(1820)にはなんと約2500人もの医者が登録していたそう。そんなに医者がいなくても…というくらい、多かったのです。中には、やはりやぶ医者もいたようですね。
江戸初期の頃、医師の身なりは剃髪した僧侶風のスタイルが定番でしたが、江戸後期には伸ばした髪を束ねるようになりました。ほとんどが往診だったので、駕籠にのって診察に行く医師もいたようです。
医学には、漢方医学と蘭方医学の2つがありましたが、町医者のほとんどは漢方医学でした。患者の脈をとって脈拍の強弱や緩急で診断を下します。患者に適した薬を調合していました。とはいえ、天保年間(1830~44)にはかなり薬代が高く、庶民にとって医者に診てもらうのは至難の業だったのです。