かなり魅力的な古文書がありましたよ!すごく面白いんです。
紹介する「視聴草(みききぐさ)」は、江戸時代の幕臣・宮崎成身(みやざきせいしん)が、手元にある資料や記録から作成した雑録で、文政13年(1830)頃から30年以上にわたって、宮崎成身が見聞きしたことや災害の記録が収められているんです。その数なんと、全178冊!
国立公文書館には教部省旧蔵の全176冊が保管されています。
宮崎成身が記録したものの中には、今では手に入らない貴重な資料だけでなく怪談奇譚も多数含まれていて、中にはツッコミどころ満載の記事も。「視聴草」を所蔵する国立公文書館の公式Twitterから、草不可避のツイートをご紹介します。
人面瘡って江戸時代からあったんだ。絵のゆるい気持ち悪さと対比する美文字にも注目です。
「人面瘡図」(視聴草)より
文政二年(1819)、仙台の商人である勘五郎の足にできた傷は、何人もの医者が治せませんでした。傷口が唇に、その上のくぼみが目・鼻・耳のように見え、動いているようにも見えたそうです。 pic.twitter.com/RGRZHOVmVi— 国立公文書館 (@JPNatArchives) 2016年7月20日
これは、小学生が描いたウルトラ怪獣です。と言われても疑わないかも。
こちらは、奥州会津磐梯山(福島県会津磐梯山)で撃ち殺されたという怪獣です。背丈は四尺八寸(144㎝)。姿はヒキガエルに似ていたそうです。天明元年(1781)に大勢の子どもが失踪したのはこの怪獣の仕業と言われたそうです。(視聴草) pic.twitter.com/O9B8rv7CoS
— 国立公文書館 (@JPNatArchives) 2015年9月9日
空からは魚をはじめ、降るはずのない不思議なものが降ってくることがありますが、これが降ってきたら本当に嫌だな。
「空から落ちてきた怪蛇」(視聴草)より
文政6年(1823)7月14日、筑後国柳川(福岡県柳川市)で、雹が降った後、雹に埋もれていた怪蛇の死体です。全長四尺五分(121.5㎝)、頭部に八寸(24㎝)ほどの毛が生えていたそうです。 pic.twitter.com/HDvrMtEZq3— 国立公文書館 (@JPNatArchives) 2015年7月14日
オランウータンはマレーシア語で森の人、という意味。この「ヲーランウータン」は、頭に金色の輪っかをつけたら孫悟空みたいです。
「ヲーランウータン」(視聴草)より
寛政四年(1792)7月、紅毛船(オランダ船)が乗せてきたボルネオ(現在のブルネイ)産のオランウータンの絵です。 pic.twitter.com/FI3cl5tw74— 国立公文書館 (@JPNatArchives) 2015年7月3日
江戸時代のメモ魔・宮崎成身が記録したものは珍獣だけではありません。浅間山大噴火は噴煙も生々しく、躍動感あふれる筆致。近隣の道はえらく事務的で、わかりやすく簡潔に表現されています。
天明3年7月8日(1783)の浅間山の大噴火は、「天明の浅間焼け」と呼ばれています。4月に始まった噴火活動は6月末に激しさを増し、7月6、7日の大きな噴火の後、8日の午前10時頃、最大規模の噴火を起こしたそうです(視聴草「浅間山焼」) pic.twitter.com/b8fJFhowBw
— 国立公文書館 (@JPNatArchives) 2015年7月7日
いかがでしょうか。視聴草、もっと見たくなりますね。古文書というとどうしても「昔の字は読めないから難しい」というイメージがありますが、このように絵が添えられていると古文書がグッと近くに感じられてきますよね。
国立公文書館デジタルアーカイブでは膨大な記録の中から7点の画像が公開されています。事前申込みをすれば所蔵館での閲覧も可能なようです。
国立公文書館では、この夏おもしろそうな展示も開催中ですよ。