シマケンの挫折は当然だった?『風、薫る』『ブラッサム』朝ドラの時代に隠された文筆家たちの苦境と辛さ:3ページ目
売れっ子作家はは話が変わる!超売れっ子・夏目漱石はいくら稼いだ?
同じ明治時代でも、スター作家・夏目漱石となると事態は一変します。
明治39(1906)年、漱石が高浜虚子へ出した領収書を見てみましょう。
『吾輩は猫である』第10回の原稿料が38円50銭。
『坊っちゃん』が148円。
合計で186円50銭です。
ただし、これは1か月の定収入ではなく、二つの作品に対する稿料です。
明治40(1907)年、漱石は東京帝国大学の教授を辞職。月給200円で朝日新聞社へ入社します。
もちろん、漱石のケースが一般的な「明治の作家の給料」ではありません。
『吾輩は猫である』『坊っちゃん』ですでに人気作家となっていた漱石だからこその待遇なのです。
ざっと見れば
無名時代=原稿が載るかどうかも分からない
売れ始める=雑誌から稿料が入る
超売れっ子=新聞社が専属作家として固定給で囲い込む
という、とてつもなく大きな格差があったわけです。
漱石自身も後年、「原稿料で衣食している」と記していますが、そこまで到達できる文筆家は、ごく一握りでした。
4ページ目 『ばけばけ』のモデル・小泉八雲も「作家一本」ではなかった
