『豊臣兄弟!』織田信澄は“過去からの刺客”!本能寺の変へ導く、業の深い兄弟の絆と信長・光秀の悲劇:2ページ目
弟を殺したトラウマに絡め取られた信長
黒幕説に関しては実際、複数の名前が挙げられています。
光秀の片腕の斎藤利三、足利義昭、朝廷・公家勢力、仏教勢力、安国寺恵瓊・毛利氏、徳川家康、そして実は豊臣秀吉説など。
【豊臣兄弟!】実は本能寺の変の“黒幕級”だった?明智光秀(要潤)の右腕・斎藤利三(内藤剛志)の生涯
それぞれ史実としての明確な記録はないようですが、いずれも「そうかも?」と思える動機はあります。
先週の劇中では、公方様黒幕説を取り入れるのかと思いきや、今回のラストで、あの手紙を書いたのは織田信澄だったという衝撃展開になりました。
史実で伝わる信澄は、謀反人の弟の子でありながら処罰の対象とされず、柴田勝家(山口馬木也)に預けられて成長。
その優秀さを高く評価され、琵琶湖の要衝・大溝城(滋賀県高島市)の城主になりました。
そして、次男・信雄や三男・信孝らとほぼ同等の扱いを受け、各地の戦線で輝かしい軍功も挙げた優秀な人物です。
ドラマ内でも、「信長に感謝し忠義を尽くす優秀な若き武将で、明智光秀の娘婿」という人間像で描かれていました。
今回、突然の襲撃事件が起こり、信澄は咄嗟に身を挺して信長を庇い負傷します。すかさず倒れた信澄に「大事ないか」と心配そうに駆け寄る信長。いかに息子同様に大切な存在なのかが伝わる場面でした。(逆に、見下ろすだけで手も貸そうともしない信孝の態度が気になりましたが…)
けれども、信澄の苦悶の表情を目にした途端、信長の脳裏にかつて自らの手で葬った実の弟・信勝の姿が蘇ってしまい心が乱れます。
今まで、何度も登場した「弟の最期の幻影」。
小一郎(仲野太河)が命懸けで兄・秀吉(池松壮亮)を庇ったときも、義理の弟として愛した浅井長政(中村歩)が裏切ったときも、かならず脳裏に浮かぶ弟の苦しむ姿。
信長はずっと、痛恨・後悔・斬鬼の念を覚えて葛藤していました。
動揺する信長の元に届いたのは、「信澄が長宗我部元親と内通している」との疑惑でした。
「なにゆえ、お前までわしを裏切った」と詰問され断固として否定する信澄。
「謀反ではない。長宗我部と談判していた。今まで明智殿が紡いできた長宗我部との絆を断ち切ってはなりません」と。
けれども、弟の幻影に支配された信長は「やはり……わしが許せぬか?」と詰め寄ります。この問いには、目を逸らさずに一言も否定しない信澄。
信長は、切っても切れない業のような兄と弟の絆に全身が絡め取られているかのようでした。

