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「江戸時代=女性が抑圧された時代」は嘘?幕末の“出合茶屋”と未亡人の自由から見えてくる意外な性意識

「江戸時代=女性が抑圧された時代」は嘘?幕末の“出合茶屋”と未亡人の自由から見えてくる意外な性意識:3ページ目

 
2026/08/14

規範のゆるみ

では、既婚女性はただ夫に従っていたのでしょうか。実際には、もう少し複雑な関係だったと考えられます。

男性が結婚後も複数の女性と関係を持つことは、一定の範囲で許容されていました。しかし、それだけを男性優位の文化と見ることはできません。

家制度の中で女性は家庭の中心を担っていました。家を守ることへの自覚や誇りがあり、それが夫の行動を受け入れる余裕につながった可能性があります。

実際、夫が好意を寄せた女性を助けるため、妻が自分の蓄えを差し出したという逸話も残されています。女性が家庭内で一定の地位と力を持っていたことを示す話でしょう。

江戸社会の性意識は、単純な男女の上下関係だけでは説明できません。未婚女性や未亡人の自由、既婚女性に求められた責任、男性の行動に対する許容が重なっていたのです。

そして幕末になると、こうした価値観そのものが揺れ始めました。出合茶屋にみられるように、性に対する規範の緩みがあらわれてきたのです。

こうした規範の変化は、社会全体の変化を映す現象だった可能性があります。

もちろん、これだけで江戸社会が幕末に大きく変質したと断定することはできません。それでも、人びとの行動や価値観が変わり始めた時期に社会制度まで揺らいでいたことは、見逃せないでしょう。

価値観が変化し、人びとの行動が変わると、社会の仕組みにも影響が及びます。江戸の性意識をたどることは、幕末という大きな転換期を考える手がかりにもなるのです。

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参考資料:樋口清之『日本史探訪 もう一つの歴史をつくった女たち』ごま書房新社、2025年
画像:Wikipedia,PhotoAC

 

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