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朝ドラ【風、薫る】りんの運命を大きく変える外科医…今井益夫(古川雄大)のモデルとされる佐藤三吉の史実

朝ドラ【風、薫る】りんの運命を大きく変える外科医…今井益夫(古川雄大)のモデルとされる佐藤三吉の史実:4ページ目

看護婦の待遇改善を佐藤三吉に直訴

前項で「和が建議書を病院側に提出した」ことに触れました。実は、そのきっかけは、明治23年(1890)頃、従来から病院に勤務していた看病婦たちが、トレインドナースに触発され、看護の専門知識を学び始めたことでした。

最初、看病婦たちは、洒落た制服を着て、医師に意見するほどの医療知識を持ち、ときには医師の指示を待たず看護にあたるトレインド・ナースを煙たい存在だと思っていたそう。そんな彼女たちに大関和「ナイチンゲールの看護の教えを説いて、この仕事は崇高なもの」と繰り返し伝えていったそうです。

徐々に看病婦たちは彼女に信頼を寄せるようになり「看護」の勉強に挑戦するように。けれども、向上心を持って勉強しようにも、昼間は病院内での看護作業があるため、夜に寝る時間を削って勉強しなければならないという状態で、看病婦たちは疲弊していきました。

そこで、和は、いきなり外科医局の責任者だった佐藤三吉に対して、看病婦の労働条件や待遇などを改善するための建議書を提出。元・家老の娘らしく難しい漢文で書かれていたそうです。

根回しなどせずに思いついたらまっすぐに突き進む、ドラマの中の一ノ瀬りんにそっくりですね。

ところが、実際、この行為は医局の医師たちの怒りを買い、業務に支障をきたしてはいけないと佐藤三吉は和を解任しました。けれども、彼女の仕事や才能は高く評価していたため、越後高田の知命堂病院に行くように勧めたのでした。

和はここから「日本のナイチンゲール」と呼ばれるに相応しい大活躍をするのですが、それはまだ少し先のお話。ドラマでは、今ご紹介した史実の部分がどう描かれるのか。冷静そうに見えるエリート・今井益夫と、おっとりしているようで情熱的で行動力のあるりんが、どのようにぶつかり話し合いをしていくのかが楽しみです。

病院スタッフや患者との関わりがどう描かれていくのか

余談ですが、古川雄大さんといえば、大河「べらぼう」の大ファンは、北尾政演(山東京伝)の、「つった重さ〜ん、吉原に連れて行ってくださいよ〜」や劇中劇の『江戸生艶気樺焼』を思い出すのではないでしょうか。政演とはがらっと異なり、ザ・エリートな今井益夫外科教授。さすがは演技力に定評のある古川さん、まったく別人ですね。

ほかにも病院では、歓迎ムードではなさそうな院長・多田 重太郎(筒井 道隆/モデルは、三宅秀か緒方正規、もしくは二人を組み合わせたといわれています)がいたり、外科の助教授の藤田邦夫(坂口涼太郎)とぶつかったり、外科の助手の黒川勝治(平埜生成)に冷静に観察されたり、一波乱も二波乱もありそうです。

教科書からは学べない、病院のスタッフや患者など生身の人間とのやりとりで皆がどのように成長していくのか……いつも理不尽な無理解や女性差別・看護婦不差別に怒りを覚えますが、「頑張れ!負けるな!トレインド・ナースの卵たち!」と見守りたいと思います。

※三宅秀:日本初の医学博士の一人。東京帝国大学名誉教授。
※緒方正規:東京帝大教授。日本における衛生学、細菌学の基礎を確立

※朝ドラ「風、薫る」実在モデル紹介記事:

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参考:
・田中ひかる 「明治のナイチンゲール 大関和物語」中央公論新社
・亀山美知子 「大風のように生きて: 日本最初の看護婦大関和物語」 ドメス出版
・東大病院公式HP

 

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