『豊臣兄弟!』なぜ足利義昭(尾上右近)は信長を見殺しにしたのか?姉川で動けなかった“将軍”の限界[前編]
『豊臣兄弟!』第15回「姉川大合戦」。秀吉(演:池松壮亮)と秀長(演:仲野太賀)にとっては、経験したことのないタイトルどおりの大合戦、生き残るための壮絶な戦いが描かれました。
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そのさなか、将軍足利義昭(尾上右近)はどうしていたかというと、京都・二条御所で静観していたのです。
実はこのシーン、室町幕府における「将軍」という存在の実像を、きわめて的確に表した描写でした。
本稿では、なぜ義昭が御所から動かなかったのかを、[前編][後編]の2回に分けて、足利将軍の特性を踏まえながら紐解いていきたいと思います。
「姉川大合戦」で描かれた室町将軍の立場
姉川の合戦を直前に控えた京・二条御所。幕臣が居並ぶなかで、三淵藤英(演:味方良介)が「では、援軍は出さぬと」と足利義昭に問いかけました。
これに対し義昭は「出さぬではない、出せぬのじゃ」と答え、「いまは我らの身を守ることを第一に考えねばならぬ。信長とて、我ら幕府の後ろ盾があってこそ大義を掲げられるのじゃ」と言い放ちます。
さらに「案ずることはない、わしは信長の強さを信じておる」と続け、幕臣たちは「ごもっともなお考えでございます」と応じました。
このわずか40秒足らずのやり取りに、室町幕府における将軍の立場が、実に巧みに表現されているのです。
では、まずは室町時代と足利将軍の歩みを振り返ってみましょう。


