『豊臣兄弟!』もう後戻りはできない…お市・長政・小一郎の「覚悟」で新しい局面に突入した第15話を考察:2ページ目
「姉川大合戦」の中心にいたお市
合戦のシーンとは対極的だったのが、お市と長政の静かな会話のシーン。
長政「まことにそれでよいのか」
市「あなた様こそ、わたくしがここにいてもよろしいのですか」
長政「正直分からん。そなたにとって、何が一番よい道なのか」
市「わたくしではなく、殿にとって一番いい道をお選びください」
長政「わしは…わしは、そなたに側にいてもらいたい。このまま、ずっと」
市「打ち明けねばならぬことがございます。わたくしは兄に…」
長政「言うな。他の者に知れたら、そなたの命はない」
兄ではなく夫と共にいる覚悟を決めたお市。そこへ、柴田勝家が浅井家に送り込んでいた織田の間者(浦上晟周)を捕らえたという知らせが。
押さえつけられた間者は「信長様は裏切り者を決して許さぬ。たとえお身内とて同じこと。織田への忠義を忘れて身も心も浅井に絡め取られた哀れな女子よ!」と、お市を睨みつけながら罵りました。
思わずそばに寄りそうになるお市の手をつかんで止める長政。
「あのものはそなたを守ろうとしておるのじゃ。無駄にしてはならん」
「もう後戻りはできぬ」。
秘密は明かさず、守るためにお市を罵倒しつつ殺された男。彼も間者の役目を担ったときから、あくまでも忠義を貫き通す覚悟を決めていたのでしょう。印象的な場面でした。
『おんな城主 直虎』で、直虎が(柴崎コウ)「地獄へ堕ちろ」「ようもここまで、我を欺いてくれたな」と、心にもない言葉で罵倒しつつ、兵ではなく自分の手で小野政次(高橋一生)を苦しませないように槍で刺した『嫌われ政次の一生』を思い出しました。
「共にいる」という、新しく困難な局面に立ち向かう覚悟を決めた長政とお市の夫婦。より絆が固く強くなったのを感じます。
『敦盛』の笛の音は、お市決別の覚悟の知らせ
部屋で笛を吹くお市のもとに、侍女が信長の軍勢が迫ってきたことを知らせに来ます。
「逃げたほうがいい」という侍女に、「先ほどの音色は兄が出陣のときに舞う『敦盛』の音色じゃ」といい、笛を吹き続けるお市。
笛の音が突然風を引き起こし、お市が側に置いたたくさんの秀吉からの手紙が飛ばされて、空中に舞い上がります。
兄がそばまで来ていることを知りつつ、「もう後戻りはできない」というお市の覚悟を託した笛の音色が、まるで届いたかのように信長、勝家、豊臣兄弟が映し出されました。
「豊臣兄弟!」の金ヶ崎の戦い〜姉川合戦は、ずっと根底にお市がテーマになっていました。
▪️「挟み撃ち状態」を兄に知らせたお市
▪️密告を告白しようとしたお市を制する長政
▪️お市を命をがけで守り切った間者
▪️嘘をついてお市を助けようとする豊臣兄弟
▪️お市を助けたい思いで間者を付けていた勝家
そして、「市が選んだことじゃ。であればわしも、もう容赦はせぬ」」という信長。
そんな織田と浅井の間で悩みゆらめくお市の感情が丁寧に描かれていたと思います。

