手洗いをしっかりしよう!Japaaan

江戸庶民が払っていた負担感ゼロの「見えない税金」とは?江戸幕府を270年支えた知られざる財源

江戸庶民が払っていた負担感ゼロの「見えない税金」とは?江戸幕府を270年支えた知られざる財源:3ページ目

長期安定の秘密

江戸幕府の長期安定は、倹約や統治の巧みさだけでは説明できません。最大の要因のひとつは、家康が築いた貨幣制度の独占構造にありました。

幕府は金・銀・銅の供給源を押さえ、貨幣の鋳造と流通を完全に管理することで、国家としての財源を安定的に確保しました。

現代でいえば、中央銀行の発行益を国家が直接使っているようなものです。

この仕組みがあったからこそ、幕府は年貢を過度に引き上げる必要がなく、農民の反発を抑えながら統治を続けることができました。

貨幣鋳造益は表向きには税として見えないため、社会的な摩擦も少なく、江戸時代の長期安定につながりました。

もっとも幕末になると財政難が深刻化し、貨幣改鋳が乱発されて混乱を招きましたが……。

それでも二百年以上も安定的に政権が続いた背景には、この独自の財源構造があったことは間違いありません。

※関連記事:

江戸時代の農民は“弱者”ではなかった!幕府の強制検地をも断念させた百姓たちの交渉力と生活防衛術

思ったより軽い年貢江戸時代の農民といえば、重い年貢に喘ぎながら貧しく暮らしていたイメージが一般的です。当時の重い年貢率を指す言葉として、収穫の5割を領主へ年貢として納め、残りの5割が農民の…

幕末の倒幕運動は“偽金”で動いていた!諸藩が手を染めた犯罪級の資金調達の実像

「奪税」の発想幕末期の日本では、幕府も諸藩も深刻な財政難にあえいでいました。そこで、幕府は開国による軍艦購入などで支出が急増し、万延二分金の改鋳でなんとか収益を得ようとします。江戸…

2027年大河で注目、小栗忠順は“隠れた英雄”か、混乱の元凶か?幕末の貨幣改鋳が招いた光と影

大河ドラマとしては第66作目となる2027年の大河ドラマ「逆賊の幕臣」では、幕末の武士・小栗上野介(忠順)の生涯が描かれることになっており、主人公・小栗忠順役は松坂桃李さんが演じます。横須賀製…

参考資料:
大村大次郎『脱税の日本史』宝島社、2024年
画像:Wikipedia,PhotoAC

 

RELATED 関連する記事