江戸時代の農民は“無学で貧しい”は誤解!世界を驚かせた当時の農民たちの教育と技術力:3ページ目
世界でも認められた技術
江戸時代の養蚕技術は国内にとどまらず、海を越えて西洋諸国にも衝撃を与えました。
代表的な技術書である『養蚕秘録』は、医師シーボルトの手によって海外へと持ち出されています。
そして一八四八年にはフランス語に翻訳されて出版されており、当時の国際社会が日本の技術を認めていた証拠です。日本の農村で磨かれた知識は、世界の産業界に影響を与えるほどの水準に達していました。
西洋では産業革命によって機械製糸が普及しましたが、日本も負けてはいませんでした。海外の技術が入る前から、農民たちは自前の簡易な機械を用いた効率的な製糸を行っていたのです。
高い識字率と技術への関心が、農村の生産力を限界まで引き上げていました。この蓄積があったからこそ、幕末から明治にかけての急激な輸出増という実績を残すこともできたのです。
江戸時代の農民は、決して単なる機械的な肉体労働に従事するための労働者ではありませんでした。彼らは文字を操り、技術を研鑽し、改善を止めない知識労働者としての側面を強く持っていたのです。
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参考資料:
大村大次郎『脱税の日本史』宝島社、2024年



