『べらぼう』本は総合芸術!壮大な夢噺のラスト飾る“屁”の大合唱!爆笑と号泣の賑やかな最期【後編】:2ページ目
チーム各人にそれぞれ個性を生かした仕事を依頼
「食事療法しながら、店で本を作る」と言い張る蔦重は、チーム蔦重を呼び病のことを伝えます。最初は「またまた〜」なノリだった皆も、自力で立つこともできない蔦重の様子に、事の重大さを感じ取り深刻な表情になっていきます。
息をするのも苦しそうな蔦重は「ひとつ希望がある」と打ち明けます。
「死んだ後に『あいつは本を作り続けた。死の間際まで書をもって世を耕し続けた』と伝えたい。俺のわがままを聞いて欲しい」と頭を下げます。
最初に馬琴が立ち上がると「俺は描くぞ!俺は描くぞ!待っておれ!」と涙ながらに宣言しつつドタドタと帰っていきます。相変わらず、騒がしい馬琴ですが、涙を堪えて頑張る!というストレートな思いがぐっと来る場面でした。
「どんな本が作りたいんだ」と尋ねるチーム蔦重。「なんだってやる」。こんなセリフを長年一緒に仕事をし続けてきた仲間に言ってもらえるとは。まさにプロデューサー・本屋冥利に尽きるのではないでしょうか。
ここから、一人一人に蔦重の遺言といえるバトンが渡されることになりました。
北尾政演/山東京伝(古川雄大)には「諸国めぐりの話」を。
「人の気性によって国が分かれていくような話を。愚直な人の国、頑固ものの国、「人の性分を書くときの山東京伝は古今無双だからよ。」。嬉しそうな京伝でした。感性が鋭く器用な分、ある程度のものは簡単に作れても、通をうならせるものを作るのが難しかった京伝を導いたのは蔦重でした。
北尾重政(橋本 淳)には「先生には、黄表紙すべての絵付けを」と依頼。
「すべてかい?」と呆れる重政ですが、すぐに「まあ、始まりもこんなだったな!」と言います。美人画の名手・重政に、まだ駆け出しの蔦重が120人の女郎の絵をと依頼した『一目千本』の頃を思い出して笑います。
「重政先生には甘えちまうんですよ。」史実でも、蔦重が初めて組み、生涯に渡り支え続けてくれた師匠でした。


