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『べらぼう』“見たい…” ていの腐女子な本音に心揺らいだ歌麿を考察——プロジェクト写楽、始動【後編】

『べらぼう』“見たい…” ていの腐女子な本音に心揺らいだ歌麿を考察——プロジェクト写楽、始動【後編】

芝居町で行われる「曽我祭り」で、蘭画のように役者の素顔をそのまま描いた絵を「写楽」という名前で売り「実は平賀源内が描いた」という噂を江戸中に流す……という「プロジェクト写楽」を始めたチーム蔦重。

「大河べらぼう」第45回『その名は写楽』では、「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」とタイトルにあるように、まさに、蔦重の夢をのせた噺となった展開でした。

【後編】では、スポンサーの松平定信(井上裕貴)と、したたかな商売人・蔦重(横浜流星)とのやりとり、具現化に苦労するチーム蔦重、「プロジェクト写楽」を動かすために水面化で動いたてい(橋本愛)と、「見たい」というていの願望に心動かされた歌麿(染谷将太)を考察してみました。

【前編】の記事はこちら↓

「べらぼう」肝の据わった名軍師・てい誕生!随所に散りばめられた名セリフや軍師ぶりを考察【前編】

「私の本音を申せば……見たい。2人の男の業と情、因果の果てに生み出される絵というものを見てみたく存じます。」「大河べらぼう」第45回『その名は写楽』。てい(橋本愛)の名セリフが、随所に散りばめ…

老獪な策士・蔦重VSオタクぶりがでてしまう定信

蔦重は、早速「プロジェクト写楽」のアイデアを定信に伝えます。

「まあ〜源内は蘭画をやっておったしな」と言う定信に「おや、ご存知で」と揶揄うようなニュアンスで返す蔦重。

「絵は武士の嗜みであるのでな」と定信、こういう話題はたぶん大好きななず。

「写したような役者絵ということは、勝川の流れか?源内と言わせたいなら勝川に寄りすぎないようにせよ!」と、オタクっぷりを披露してしまいます。

「策は認めたので進めろ」という定信に、陰の軍師・ていの「ふんどしの守からかかり(費用)をふんだくり」という指示通り、「なかなかこちら(お金)がかかるので」と予算を請求します。

「さようなものお前のほうで工面せよ!」という定信に、一際声のボリュームをあげ「質素倹約の煽りを受け、身上も半減されまして」と、嫌味たっぷりに言う蔦重は実に老獪な表情でしたね。カチンと来た定信も言い返しますが、海千山千の蔦重には敵いません。

「他の本屋にお頼みになったら〜」
「吹けば飛ぶような本屋なので、ついグチの一つも漏らしてしまうかも〜」

と蔦重の嫌味たっぷりな返しにさらにカチン顔になる定信ですが、重ねて「この仇討ちは奉行所にお届けはお出しに?」とかぶせられ、「降参」と言う表情になり口をキュッと結んだところはおかしかったですね。

控えていた家臣・水野為長(園田祥太)に目配せし、水野は蔦重の前に千両箱をそっと出します。大金を確認して満面の笑みを浮かべ、即「ありがたやまでございます!」とまったく遠慮もしません。定信は、最初からこうなる(蔦重には負ける)と予想して、大金を用意していたのでしょうか。

蔦重の横に控えていた水野の表情に笑いました。やりこめられた定信と、一切物おじしない蔦重との対峙シーンですが、どこかお互いにこの応酬を楽しんでいるような感じがしました。

2ページ目 歌麿が描いた「変顔の女性」が写楽の画風のアイデアに

 

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