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「べらぼう」肝の据わった名軍師・てい誕生!随所に散りばめられた名セリフや軍師ぶりを考察【前編】

「べらぼう」肝の据わった名軍師・てい誕生!随所に散りばめられた名セリフや軍師ぶりを考察【前編】

「私の本音を申せば……見たい。2人の男の業と情、因果の果てに生み出される絵というものを見てみたく存じます。」

「大河べらぼう」第45回『その名は写楽』てい(橋本愛)の名セリフが、随所に散りばめられ光を放っていました。MVPは間違いなく“おていさん”でしたね。

最終回が近づいてきた今、エンタメト色が強くなり、1年間見続けてきた視聴者にとってはうれしい場面・うれしい人物の再登場が続いています。

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『べらぼう』歌麿と蔦重、“二人の男の業と情”因果の果てに「写楽」の絵が誕生!?史実を元に考察

宿怨を乗り越え、平賀源内の仇討ちに誘われた蔦重(横浜流星)。拒否する選択肢を断たれた以上、協力するよりありません。蔦重に課せられた任務は「平賀源内がまだ生きている」と評判を広めること。それなら…

前回の予告で、チーム蔦重が「しゃらくさい」から「写楽!」と盛り上がっていたので、おそらく「写楽は一人ではなくチーム蔦重が生み出したプロジェクト」というストーリー展開になると推測されていました。

今回は、松平定信(井上裕貴)からの依頼「源内生存大作戦」に乗った蔦重の「そうきたか!」なアイデア、その企画に久々にクリエーターらしい盛り上がりを見せるチーム蔦重、プロジェクトのスポンサーなのに、蔦重にやりこめられて“カチン顔”になる松平定信とのやりとり、そして、プロジェクト写楽始動にあたり大きな役割を果たした蔦重の妻・ていの名軍師ぶりを振り返り考察してみました。

「越中守さまは、源内先生に会ったことねぇでしょう!」

平賀源内(安田顕)に呼び出されたとばかり思って蔦重が出向いた寺には、源内はおらず、松平容保が立ち上げた“アベンジャーズ”が待ち受けていました。

将軍の父として暗躍する一橋治済(生田斗真)を排除する計画に誘われますが、“死を呼ぶ手袋”の草稿は定信が書いたと知り肩を落とします。

「おいとまします」と去ろうとする蔦重に、「そなた、源内の仇を打ちたくないのか!源内が生きていれば仇を討ちたいはずだ」と詰め寄る定信に、思わず「越中守さまは、源内先生に会ったことねえでしょう!」と強く怒鳴り返す蔦重。

以前、源内が獄死したときに憤った蔦重が田沼意次(渡辺謙)に、「忘八……この忘八が!」と罵ったときを思い出しました。

定信への怒りと源内がいなかった喪失感を飲み込み、「どうしたいかは源内先生に会った時にお聞きします」という蔦重の目にみるみるうちに涙が…。子を失い歌麿に去られ生気を失っていた蔦重が、 “源内生存説”で元気を取り戻す姿を見ていただけに、その落胆ぶりは気の毒になりました。

「悪党を成敗したいと思わないのか?」「悪党を成敗するべきだと言ってたじゃないか」と口々に責める“アベンジャーズ”。騙して呼び出しておきながら、この責めはひどかったですね。

「そいつが悪党という証拠がないんですよね。万が一間違っていたら拭けば飛ぶような本屋なのでご勘弁を」と去ろうとする蔦重を、今度は刀をかまえた家臣たちが阻止、定信に「残念ながらおまえはもう関わっておるのだ」とダメ押しされてしまいます。

刀で脅すやり方を「ヤボだ」と責める蔦重。以前、意次に刀を向けられた時、「筆より重いものは持たない」と返した場面を思い出します。確かに本屋を、武家が刀で脅すなど野暮の極み。

「あいにくこちらは野暮だ粋だでは生きておらぬのでな」と、鼻持ちならない言葉を返す定信。しかも「拭けば飛ぶような本屋にはたいしたことは頼まない」と、重ね重ね失礼な言い方で圧をかけます。

布団部屋で「悔しい〜」と涙を浮かべていたのに、偉そうな“ふんどし野郎ぶり”(偉い地位なので仕方ないのですが)は健在です。

内心、腹を立てている蔦重ですが、「源内が生きているように見せかけ世の中を大騒ぎさせてほしい。」というアイデアと、「お前ほどこの役にふさわしいものはおらぬ」と畳みかけられて、「やってみようかな」と心が動いたように感じられました。

2ページ目 肝が据わっている軍師のようなおていさん

 

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