和田竜 12年ぶり新作『最後の一色』怪物武者・一色五郎の武勇伝と非業の最期をたどる:2ページ目
『最後の一色』における一色五郎は?
ここまで、実在した?とされる戦国大名・一色五郎(義定?義忠?)について、その生涯を駆け足でたどってきました。
果たして和田竜『最後の一色』では、どんな一色五郎が描かれるのでしょうか。
一色五郎
一色家当主・丹後守護。
戦で父を失い、 17歳にして家督を継ぐ。
六尺を越す巨躯に 奇怪な程に長い手足を持ち、
左目だけが極端に大きい、 魔物のような容貌。
無口にして豪胆、 大胆にして細心。
父親は謀殺でなく、討死した設定となっているようです。17歳で家督を継いでいることから、逆算して一色五郎は永禄6年(1563年)生まれなのでしょう。
六尺(約181.8センチ)を超す長身や異常に長い手足、左目だけが極端に大きいという設定については、魔物感を演出するための創作と考えられます。
あまり口数は多くないようですが、果たして何を企んで?いるのでしょうか。
『最後の一色』物語
織田信長による天下布武の軍団が日本全土を侵略していくなか、その怪物は戦場にあらわれた。
名を丹後の守護大名、一色義員の嫡男・五郎と言った。
17歳の青年は、父が倒された圧倒的不利な状況下で、凄惨な戦闘を繰り広げ、その場にいた全ての人間を恐怖に陥れる—
一方、信長に丹後を支配するよう命じられた智将・長岡(細川)藤孝、猛将・忠興親子は、決死の覚悟で五郎と戦う。
味方にも秘策を明かさぬ五郎が進もうとする先は、果たして織田家の壊滅か、一族の破滅か。戦国時代最後の怪物が覚醒する。
※『最後の一色』和田竜|小学館
これを読む限り、本作では恐らく和睦≒織田家に臣従する前の抗戦時期が描かれるのでしょう。父が討たれた逆境の中で武勇を奮い、長岡父子(特に嫡男の忠興)と死闘を演じる……胸が熱くなる展開ですね。
