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あの漫画と「ノルマントン号事件」は無関係!実は日本とイギリスの間で翻弄されていた悲劇の船長【前編】

あの漫画と「ノルマントン号事件」は無関係!実は日本とイギリスの間で翻弄されていた悲劇の船長【前編】:2ページ目

日本人の死者が出た理由

そもそもノルマントン号は貨物船だったのですが、なぜ日本人が乗っていたのでしょうか。

答えは、この日本人たちは横浜港で働いていた「船荷人夫」たちでした。そして次の仕事が大阪で荷物を降ろすことだったので、ドレーク船長にノルマントン号に乗せてもらうことになったのです。

ですから、彼らは乗客ではなく、「乗組員」と同じ扱いでした。

また事故時の状況ですが、実際にはドレーク船長は日本人たちに救命ボートに乗るように促しましたが、船員たちの証言によると英語がなかなか通じず、そして彼らは下船することを拒否した、とされています。

実際、船が座礁した場合、状況によっては船に残ったほうがよい場合もあるのです。

船荷人夫、すなわち船乗りだった日本人たちがそう判断したのも間違いとはいえません。状況によってはボートで逃げたほうが死んでいた可能性もありますし、現にボートで脱出した乗組員にも死者が出ています。

こうした難しい状況の中、ドレーク船長たちは辛うじて生還できたという状況だったのです。

【後編】では、こうした事件の経緯を踏まえて行われた裁判の内容について見ていきましょう。

また、例のビゴーによって描かれた風刺画の「真相」についても説明します。

そうすることで、ドレーク船長は日本人を見捨てた悪徳船長どころか、実際には日本と欧米諸国の思惑に板挟みにされた被害者だったことが分かるでしょう。

【後編】の記事はこちら↓

“真の被害者”とは?誤解だらけな「ノルマントン号事件」日本とイギリスの間で翻弄された悲劇の船長【後編】

無理筋の実刑判決【前編】では、あのノルマントン号事件で、船に日本人が乗っていた理由や死者が出た経緯などを説明しました。[insert_post id=260185]本稿では、さらに…

参考資料:
浮世博史『くつがえされた幕末維新史』2024年、さくら舎
画像:photoAC,Wikipedia

 

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