あの漫画と「ノルマントン号事件」は無関係!実は日本とイギリスの間で翻弄されていた悲劇の船長【前編】
ノルマントン号事件とは
明治時代の日本が積極的に欧化政策と外交交渉を進めているなか、そこに冷や水を浴びせるような形で起きたのがノルマントン号事件です。
この事件は、教科書では以下のような内容で紹介されるのが常ですね。
《イギリス船ノルマントン号が和歌山県沖で沈没し、日本人乗客全員が水死する事件が起こった。しかしイギリス領事裁判所は、イギリス人船長に軽い罰を与えただけであったため、不平等条約の改正を求める世論が高まった。》
そして、この事件を皮肉ったフランス人の風刺漫画家・ビゴーの漫画が掲載されているのがパターンです。
これは、溺れている日本人を救助せず、自分たちは救難ボートに乗り「助けてほしければ金を出せ」と、言っている悪徳船長と船員たち、という構図ですね。ちなみにこの船長はジョン・ウイリアム・ドレーク船長といいます。
ノルマントン号事件は、日本人にはこのように漫画とワンセットで認知されていますが、実はいろいろと、教科書には書かれていない真相があります。今回は前編・後編に分けてそれをご紹介します。
2ページ目 日本人の死者が出た理由
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