『べらぼう』書をもって世に抗う!ふんどし野郎(松平定信)の締め付けに抵抗する蔦重の戦い【後編】
田沼意次(渡辺謙)と蔦重が奔走して、江戸の混乱「打ちこわし」が収まったのに、さも自分の手柄のようにあることないこと「読売」に提灯記事を書かせる松平定信(井上祐貴)。
それを読んで「松平様はさすがだねえ〜」と安易に乗っかる町人たち。
さらに、質素倹約贅沢は禁止、批判も禁止と、狂歌などクリエイティブにまで圧力をかけ、田沼意次の部下にまで制裁を加える定信。そんな「ふんどし野郎」と戦うことを決意した蔦重は、意次に「最後の田沼さまの一派として。田沼さまの世の風を守りたいと思います。」と「書をもって抗う」ことを伝えました。
【前編】の記事はこちら↓
『べらぼう』胸が震えた名シーン…決意を固めた“同じ成り上がり”の田沼意次と蔦重の覚悟を考察【前編】
今まで、いろいろな戦い方をしてきた蔦重ですが、過去一とも言える大きな戦いを仕掛けます。本気の決意は幕府の締め付けと「見せしめ」に意気消沈しかかっていた、チーム蔦重たちの心を揺さぶったのでした。
質素倹約なんていうつまらねえ世の中に喧嘩を売る蔦重
「ふんどし野郎」の締め付けに、心の底から憤りを感じたのでしょう。本屋としての自分らしく「書をもって世に抗う」覚悟をした蔦重。
店に、絵師・戯作者・狂歌師など、“チーム蔦重”を集めます。そこで、「松平定信の世になり、質素倹約を強要され、これからは、ものづくりが厳しくなっていくと思う。けれど、自分はそんな世の中はゴメンだ」と伝えます。
「人々に倹約しろ!倹約しろ!と口うるさくいい、遊びに溺れるな、分を務めろとふんどし野郎はうるさいが、裏を返せば贅沢すんな、遊ぶな、死ぬまで働けってことだ。
そんな世、誰が面白えんです?面白いのはただ1人だけ、世をてめえの思う形にしたふんどし野郎だけじゃねえですか!」
と皆に言う蔦重。これは、ほんとにその通り。思わず、頷くチーム蔦重。
定信を「ふんどし野郎」呼ばわりしてはっきりと批判する蔦重に、「松平の質素倹約に励めのほうが正しい」と考えていた、ていの表情が大きく動揺したように変わりました。
政権に喧嘩を売ることになる蔦重の無謀とも言える覚悟に驚いたのもあるでしょう。けれども、「蔦重という人間はこういう人だった」と、日本橋に火山灰が降ったときに街を救った、彼の行動力に惹かれたことも改めて思い出したのではないでしょうか。


