『べらぼう』書をもって世に抗う!ふんどし野郎(松平定信)の締め付けに抵抗する蔦重の戦い【後編】:3ページ目
質素倹約の世の中なんかごめんだ!反抗の狼煙をあげる“屁踊り”
「こういうクリエイティブがない遊びのない世の中なんか「屁」だ!」と太田南畝が立ち上がり、恒例の“屁踊り”が始まります。
“屁踊り”は、以前は「俺たちは屁のように取るに足らない存在だから自由に書いて楽しもうぜ!」というニュアンスだったのんですが、今回の“屁踊り”は「ふんどし野郎が質素倹約で作ろうとしているつまらない世の中なんか屁だ!そんな世の中冗談じゃねえ」という怒りや批判を込めた踊りでしたね。
ていは、蔦重の覚悟の言葉に感動し、「夫の「我が心のままに生きる」は止めることはできない。そんな蔦重にクリエーターたちが感銘を受けている。」と思ったように見えました。頑固で融通が効かないように見えて、柔軟なところもあるていは、思いを新たにしたのかもしれません。まさかのお堅いふざけたりしない彼女が“屁踊り”に参加したのにはびっくりしましたね。
最初、おずおずと踊りつつなかなか“屁踊り”の輪には入れない姿は、まるで大縄跳びには入れない子どものようでした。けれども、緊張の面持ちで、やっと輪に入ったかと思ったら思い切り「屁!屁!」と声を張って踊っていたのが、実に微笑ましかったですね。
「二度と店を潰すのはゴメンだ」と言っていたとしても、定信の言うとおりに従い質素倹約に励み遊びや贅沢はせず禁欲しているだけでは、エンタメや本の魅力はなくなり人々は買わなくなり当然客足も遠のき、結果店が潰れることになるという蔦重の考えが理解できたのでしょう。
耕書堂の女主人として腹を括ったのだと感じました。
