『べらぼう』書をもって世に抗う!ふんどし野郎(松平定信)の締め付けに抵抗する蔦重の戦い【後編】:4ページ目
耕書堂の新しい本を手にとった定信の心境はいかに…
そんな蔦重が、定信に抗うために、定信の政策をおちょくった黄表紙、『文武二道万石通』『悦贔屓蝦夷押領』『将門秀郷時代世話二挺鼓』が出来上がります。
『文武二道万石通』(朋誠堂喜三二作)は、定信の「文武!文武!」と、武士に学問と武芸の両方に励めというお達しを茶化すような内容。
『悦贔屓蝦夷押領』(恋川春町作)は、源義経が平泉で戦死せずに北海道に逃れたという伝説を下地に、松平定信の融通の利かない性格や寛政の改革を揶揄した内容。
『将門秀郷時代世話二挺鼓』(山東京伝作)は、平将門のいた時代設定で、意次派の失脚した世相を穿ってみせたもので、「七つの魂」とは田沼家の紋所「七曜紋」のことを暗に示し、登場人物の俵秀郷も佐野政言をモデルにしたとされています。
さらに、『画本虫撰(えほんむしえらみ)』(宿屋飯盛 撰・喜多川歌麿 画)は、彫りや摺り、仕立てにもこだわった豪華な絵本で、歌麿の優れた観察眼と写実力とが遺憾なく発揮されている本。見開きに2種類の虫と植物を描き、その虫を題にした恋の狂歌2首を取り合わせている豪華本です。
ドラマでも、雲母がキラキラしていて実に美しく再現されていましたね。
『べらぼう』喜多川歌麿(染谷将太)ブレイク前夜に耕書堂から出版された「画本虫ゑらみ」が圧巻の画力!
NHKで放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。8月3日(日)に放送された第29回放送「江戸生蔦屋仇討(えどうまれ つたやのあだうち)」では、誰袖(福原遥)に、もう一度笑顔を取り戻してもら…
松平定信は、個人的には黄表紙を非常に愛している人物。耕書堂の新しい黄表紙ができたと家臣がお盆に並べて、差し出したとき、思わず嬉しそうに微笑んで手にとっていましたね。
もし、この時代でなければ、田沼意次への確執がなければ、黄表紙大好きオタクと出版元の蔦重とは気が合って、「こんな本を作ったら面白いのではないか?」などと盛り上がったかもしれません。
蔦重の本を手にとった、定信の心境やいかに。今後の展開が怖いですが、どのように森下脚本で描かれていくのが注目です。




