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【べらぼう】将軍家に種をまくため養女に送り出された松平定信の妹・種姫の短すぎた生涯…

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豪華な婚礼と紀州藩士の不満

将軍家の姫が輿入したのは利根姫(とねひめ。第8代・徳川吉宗養女)以来半世紀ぶりで、その婚礼行列は豪華を極めたそうです。

しかし豪華な婚礼費用を工面するため、紀州藩士らは6年間の半知(はんち。知行≒年俸を半減)を命じられました。

現代の感覚で言えば「社長の息子が結婚するから、6年間は給料半分ね!」と言われるようなもの。紀州藩士らは大いに困窮したことでしょう。

しかも種姫に従って紀州藩邸へやって来た女中たちは、大奥に比べて生活のグレードが下がったことに不平不満を言い立てました。

こちとら紀州を半分にされてまで迎えたのに、自分たちより遥かにいい暮らしをしている連中の不満など聞かされてはたまりません。

紀州藩士らは、種姫一派に内心の不満を溜め込んだことでしょう。

かくして紀州藩へ嫁いだ種姫。彼女は寛政6年(1794年)1月8日に30歳という若さで世を去ってしまいました。

紀州家の希望によって種姫の遺体は紀州長保寺(和歌山県)へ葬ることとなり、同年5月27日に葬られます。

法名は貞恭院(じょうきょういん/ていきょういん)。二人の間に子供はいなかったようです。

終わりに・大河ドラマでの再登場は?

今回は田安家の種姫について、その生涯をたどってきました。

NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」にはもう登場しなさそうですが、紀州藩邸での生活や、徳川治宝との夫婦関係なども興味深いですね。

田沼政権の崩壊により、実兄・定信が台頭していく中で、彼女はどんな役割を果たすのでしょうか。

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再登場に、期待しています。

※参考文献:

  • 関口すみ子『大江戸の姫さま』角川書店、2005年
 

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