【べらぼう】一橋治済の罠にはまった田沼意次と蔦重が迎える運命の時「天明の打ちこわし」勃発!:3ページ目
第九代将軍・徳川家重の遺言?
「将軍の身内は老中になれない」
大奥からそのような決まりを持ち出され、一橋は苛立ちます。
一体誰が決めたのか……聞けば第九代将軍・徳川家重(いえしげ。家治の父)の遺言とのことでした。
「家重、ハッ!」
あろうことか諱(いみな。本名を直接呼ぶのは無礼とされた)で呼び捨てた一橋。
家重は言語不明瞭(どもり)で病気のため頻尿だったことから、小便公方(〜くぼう)等とあだ名されていました。
参考:
人々に愛された小便公方?志村けんのバカ殿様のモデルとされる第9代将軍・徳川家重
志村けんさんが演じていた「バカ殿」は、1986年から2020年までの34年間、多くのお茶の間を盛りあげてきた大人気シリーズです。実は、志村さんが演じたバカ殿には、モデルとなった人物がいます。こ…
それで一橋はバカにしたのですが、ここに彼の驕りが表れています。
ちなみに家重がそのような遺言を遺した記録は見当たりませんが、彼は田沼を重用するように遺言していました。
これを(かなり強引に)拡大解釈したのかも知れませんね。
神君家康公の遺徳
その一方で「神君・家康公」と田沼が口にした時は、さすがの一橋も頭を下げて敬意を表しています。
しかしこれは大義名分に過ぎず、都合が悪くなれば呼び捨ても厭わなかったのかも知れません。
歴代将軍は誰もが等しく尊い存在であり、個々の資質や業績によって態度を変えてよいものではないでしょう。
こうした態度を目の当たりにして、周囲はますます一橋に対する警戒心を強めたことと思われます。


