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お江戸版ブラック庁舎!?超激務だった江戸時代の町奉行所の知られざる実態

お江戸版ブラック庁舎!?超激務だった江戸時代の町奉行所の知られざる実態:2ページ目

町廻そして火付盗賊改へ

ところで同心の中でも、市中の治安維持と犯罪の取り締まりのための見廻りを行う同心は「町廻」と呼ばれました。

町廻は職務内容によって3つに分かれます。

犯人を捕縛せず、犯罪の裏付け調査や証拠集めを行う「隠密廻」、市中を巡視して法令の施行を視察し、犯人の捜査や逮捕を行う「定廻」、定廻を長年務めたベテランで後任の定廻を指導・補佐した「臨時廻」です。

町廻は厳格に受け持ち地域を決められており、その地域担当は世襲されました。そのため前述の三種類の町廻は与力の配下ではなく、町奉行の直属となっていました。

ところが町奉行所の管轄範囲は拡大し続けます。また都市部に流入する無宿や浪人などによって、盗賊や放火犯が増加・悪質化しました。

そのため、複雑化・広範囲化する犯罪に対処することが難しくなり、火付盗賊改が設置されることになったのです。

『鬼平犯科帳』では、火盗改が逮捕した者を拷問したり、犯人を捕縛時に斬り捨てたりするシーンがたびたび描かれています。

ところが、こうした強硬手段は火盗改のみに許可されていたものでした。町奉行所では犯罪者は生きたまま捕らえるのが基本で、むやみに拷問することもできなかったのです。

3ページ目 「名主」による民間の治安維持

 

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