「べらぼう」蔦重、ついに覚醒!知の巨星・太田南畝(桐谷健太)に出会い”狂歌”ブームに飛び込む【後編】:3ページ目
コーヒーを飲んだお江戸の有名人
太田南畝といえば、「コーヒーを飲んだ江戸の有名人」としても知られています。前述の「学問吟味」の受験にて、下級武士部門で主席で合格したことで、幕府中枢の財政部門である支配勘定に取り立てられたのです。
その後、56歳で長崎奉行所勘定所に派遣され、長崎には1年間滞在したのですが、その間に、オランダ船でコーヒーを味わう機会に恵まれたようです。
文化2年(1805)に出版された、南畝の随筆『瓊浦又綴(けいほゆうてつ)』によると、初コーヒー体験は8月9日のことだったそう。その感想はというと……
紅毛船にて「カウヒイ」といふものを勧む、豆を黒く炒りて粉にし、白糖を和したるものなり、焦げくさくして味ふるに堪ず
だそうで。あまり美味しいとは思わなかったようですね。
好奇心が旺盛、新しいものに挑戦したい、未知のものを拒否せずに面白がる……そんなところが共通しているように思える、太田南畝と蔦重と平賀源内が、テーブルを囲んでコーヒーを飲みながら、なんやかんやと狂歌など詠んでネタにして楽しんでいる、そんな様子を想像してしまいました。
新体験、新感覚を言語化するのが上手な人たちが、珍しいものを体験し、どんな感想を言い合うのか、狂歌にして笑いあうのか……そんな場面をみてみたいものです。
太田南畝との出会いでさらなるステージに駆け上がる蔦重。待ち構える史実は承知ながらも、蔦重はじめ歴史上の人物たちが、森下脚本の妙で、毎回まるで今ここで起こっているかのように、感動やワクワクやドキドキを体験させてくれるのが楽しみです。

