
瀬川の想いが結晶に!蔦屋重三郎『伊達模様見立蓬莱』はどんな物語か?実際の作品内容を紹介【大河べらぼう】
蔦屋重三郎(横浜流星)が「ある人と一緒に考えた」物語を、苦心の末に書き上げました。ある人とは、言うまでもなく幼馴染で初恋の瀬以(五代目瀬川。小芝風花)です。
恩が恩を呼ぶ物語の名は『伊達模様見立蓬莱(だてもよう みたてほうらい)』、これがサブタイトルの「さらば源内、見立は蓬莱」に回収されていました。
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ところでこの物語、どんなストーリーなのでしょうか。今回は『伊達模様見立蓬莱』を紐解いてまいります。
一、娘を吉原遊郭へ売った万右衛門
今は昔し、江戸は深川の万年橋(東京都江東区)で、万右衛門(ばんゑもん)という男がウナギやスッポンを商っておりました。
この万右衛門、生活に行き詰まった末に、心ならずも娘を吉原遊郭へ売ってしまったのです。
それからと言うもの、少しでも功徳を積もうと思ったか、殺生を一切やめることにしました。もちろん商売であったウナギやスッポンも殺さず、ペットとして亀を商うようになります。
※近くの富岡八幡宮で行われていた放生会(ほうじょうえ)で放つための亀(放し亀)かもしれません。万年橋の名前も「亀は万年」に由来するという説もあるようです。
ニ、娘は梅ヶ枝花魁の禿に
いっぽう吉原遊郭へ売られた娘は、松葉屋の花魁である梅ヶ枝(うめがえ)付の禿(かむろ。遊女見習い)となっていました。
聞けば娘は梅ヶ枝から大切に育てられているそうで、万右衛門は感謝を伝えるために松葉屋を訪ねます。梅ヶ枝は万右衛門の親心を喜び、万右衛門に三両を包んだそうです。
三、買い受けた大亀を海へ逃がす
ありがたく三両をもらった万右衛門は、それを元手に房総半島の山奥に棲む伝説の大亀を買い受けました。
三両もの大金をはたいて買った大亀ですから、投資を回収したいのが人情というもの。しかし万右衛門はこの大亀を海へ逃がしてあげたのです。
恐らく大亀は元々海にいたところを、人間によって無理やり山奥へ連れて来られたのでしょうね。