瀬川の想いが結晶に!蔦屋重三郎『伊達模様見立蓬莱』はどんな物語か?実際の作品内容を紹介【大河べらぼう】:2ページ目
四、大亀が梅ヶ枝を身請け
万右衛門に逃がされた大亀は恩義を感じ、この恩義を返そうと人間に姿を変えました。そして千両もの大金で梅ヶ枝を身請けし、竜宮城へ彼女を迎え入れます。
しばらく竜宮城で大亀と楽しく暮らしていた梅ヶ枝。しかしある日、かつて間夫(マブ。真夫)だった千州(せんしゅう)が沖で釣りをしているところを見つけました。
五、結ばれた梅ヶ枝と千州
大亀に身請けしてもらった恩義は感じていても、自分の心に嘘はつけません。
本心を打ち明けた梅ヶ枝を大亀は許し、彼女の幸せを第一に考えて地上に帰すことにしたのです。
かくして松葉屋へ戻った梅ヶ枝は、楼主の媒によって間夫の千州と結ばれたのでした。
めでたしめでたし。
恩が恩を呼ぶ物語
……というストーリーでした。
物語のヒロイン梅ヶ枝は五代目瀬川を連想させ、彼女を身請けした大亀は、五代目瀬川を身請けした鳥山検校(市原隼人)を連想させます。
鳥山瀬川事件(鳥山検校が五代目瀬川を身請けしたものの、程なく失脚した事件)によって、それまでの悪行三昧もあって散々に書かれた鳥山検校。しかしこの『伊達模様見立蓬莱』では恩に恩で報いる大亀として描かれました。


