なぜ日本人は頭を下げる?「お辞儀」に込められた日本文化の価値観や精神性とは……:2ページ目
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現代の日本では、お辞儀の仕方も場面によって使い分けられています。
たとえば……
- 軽いあいさつの「会釈(約15度)」
- 一般的な礼の「敬礼(約30度)」
- 深い謝罪や改まった敬意を表す「最敬礼(約45度)」
があります。
このように、感情や状況に応じて角度やタイミングを調整する点にも、日本人の細やかな心遣いがあらわれています。
また、礼を重んじる文化は日本だけでなく、東アジアの諸国にも見られますが、これほどまでに多様な意味をこめ、使い分けを体系化している例は珍しいといわれています。
それは、日本人が礼儀を“心の表現”としてとらえてきたからにほかなりません。
お辞儀には、「言葉にせずとも、心は伝えられる」という日本的なコミュニケーションの特徴が詰まっています。静かで控えめだけれど、相手を思う気持ちがにじむその所作は、現代社会においても多くの人の心に響きます。
頭を下げるという行為に、日本人はどれだけの思いを込めてきたのか。それを知ることは、日本人の美意識や社会観、人との向き合い方をあらためて見つめ直すことにもつながります。形式だけにとらわれず、心を添えたお辞儀を大切にしていきたいものです。
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