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大河「べらぼう」蔦屋重三郎の夢を支えた『男気』〜浄瑠璃の馬面太夫と富豪の鳥山検校〜【後編】

大河「べらぼう」蔦屋重三郎の夢を支えた『男気』〜浄瑠璃の馬面太夫と富豪の鳥山検校〜【後編】:4ページ目

太夫の男気と鳥山検校の男気

嫌っていた吉原だけれども、誠心誠意の詫び、浄瑠璃を観にいく自由もない「籠の鳥」の遊女たちが置かれた環境、背負った運命などを感じ、自分の芸に涙する彼女たちの心情に揺さぶられ、「こんな涙を見て断る男がどこにいる」と「俄祭り」への出演を決心する本豊志太夫の男気には惚れ惚れとしたという声がSNSでもネットでもたくさん上がっています。

そして、鱗形屋(片岡愛之助)から「蔦重は、市中の地本問屋との折り合いが悪い」という悪口のような事情を聞いたときも、「だったらなおさら、あいつを助けてやりたいね。それが男ってもんだろ」と言い切るのは、さらに男気のある痺れるようなセリフでした。

鳥山検校なりの悩んだ末の男気

そして、検校の計らいに感謝の言葉を述べる瀬以。「瀬以の望むことは全て叶えようと決めた」という検校。

ぞっこん惚れて身請けした女性が心に他に想う人の面影を抱いていると察知しながらも、「瀬以の望むことは全て叶えようと決めた」という検校の男気には、器の大きさを感じながらも、太夫のそれとは違って複雑な陰や寂しさが漂います。

「瀬以の望むこと=蔦重を助けること」と察知しつつ蔦重への嫉妬で苛まれ瀬以にきつく当たることなど自分の誇りが許さないのか、瀬以の望むことは財力のある自分しか叶えられないという証なのか、それとも純粋に瀬以を愛するゆえに覚悟を決めたのか……さまざまな推測はできますが、本当の気持ちは本人にしかわからないこと。

いずれにしても、お江戸の人気スター富本豊志太夫、惚れた瀬以の夢を叶えるために確保を決めた盲人で大金持ちの鳥山検校、二人の「男気」に支えられ助けられた蔦重なのでした。

ちなみに、鱗形屋に対して、駿河小島藩に仕える武士であり戯作者でもある倉橋格(恋川春町/岡山天音)が「当家の家老はそなたにまことにひどいことをした。それを忘れるなど、男のすることではない」と、詫びるシーンも男気を感じる場面でした。

今回のそれぞれの立場の「男気」。その男気に助けられてビジネスを成功させていく蔦重がどのような成長を遂げていくのか、これからも楽しみですね。

 

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