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大河「べらぼう」蔦屋重三郎の夢を支えた『男気』〜浄瑠璃の馬面太夫と富豪の鳥山検校〜【後編】

大河「べらぼう」蔦屋重三郎の夢を支えた『男気』〜浄瑠璃の馬面太夫と富豪の鳥山検校〜【後編】:2ページ目

スターを応援する「推し活」は江戸も令和も同じ

生の太夫の美声や芸を目の当たりにして、その実力や世界観に圧倒される蔦重。さらに、出待ちには多くのファンが押し寄せ、圧倒的なスターの輝きを放つ太夫の姿を見て、エンターテイメンの持つ力に初めて震えたのではないでしょうか。

ファンの女性たちが手に手に持っていた「団扇」には「桜草の紋」(太夫が舞台で来ていた裃に入っていた紋)が入っていました。「推しの団扇」を持って応援する文化は現代でも続いているのだな……と、非常に身近に感じるシーンでしたね。

感動そのままに体当たりで、太夫に「俄祭り」への出演を依頼するも、太夫は昔吉原と一悶着あったため「吉原は好かねぇんだよ」と一蹴します。

剣もほろろの馬面太夫との仲を取りもってもらうため、当時浄瑠璃の元締めだった鳥山検校(市原隼人)の家を訪れる蔦重。そこで鳥山検校の妻となり「瀬以(せい)」と名前を変えた瀬川(小芝風花)と再会します。

再会した蔦重と瀬似に何かを察知する鳥山検校

鳥山検校が現れるまで、久々に再会した二人は吉原にいたことのまま息の合った会話を交わし笑い合います。イキイキとした楽しそうな瀬以の声を聞いた検校は、二人の間に漂う親密な空気を察知し、結びつきの深さに嫉妬したのでしょう。

蔦重が「太夫の声を聞いて欲しい」と願うも乗り気ではありません。瀬以が「私も太夫の声を聞いてみたい」と助け舟を出すものの、それ以上瀬以を困らせたくない蔦重はあっさり引き下がります。

追いかけようとする瀬以の手を握り「もう花魁、瀬川ではない!」「ずいぶんとそなたに優しい男だな」というセリフは、盲目でありながら非常に人間の機微に鋭い人だけに、怖いものがありました。

手首に触れて「脈が早い」と瀬以の感情が高ぶっていることを指摘するのも、鋭すぎてこれからの二人の行く末が危ぶまれるような不穏な空気が漂っていました。

今までの話の中で、吉原のトップ花魁として、疑似恋愛の手練手管には長けているところを見せてきた瀬川ですが、鳥山検校に本心を悟られないようにすることはどうも難しそうです。

3ページ目 初めての浄瑠璃に涙する遊女たちと男気を見せる太夫

 

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