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美青年に惚れた閻魔大王!大河『べらぼう』で蔦重が遊女に読んだ平賀源内の男色小説『根南志具佐』の内容とは?

美青年に惚れた閻魔大王!大河『べらぼう』で蔦重が遊女に読んだ平賀源内の男色小説『根南志具佐』の内容とは?:3ページ目

辛い人生を送る遊女にしばし楽しいひとときを

この『根南志具佐』は、当時大スターだった瀬川菊之丞が実名で登場するわ、閻魔大王の手下となる情報屋となっているのが伊勢海老や河童だったりするわ、ギャグテイストやボーイズラブテイスト満載のお話です。

ところが、奇想天外の才能を持つ平賀源内が創作した「ただの荒唐無稽のお話」というわけもありません。この当時、江戸の出版界では笑いで世相を風刺する講義本というジャンルがあり、根無草もそのひとつでした。

幕府体制の堕落ぶりや、一目惚れした相手を殺してまで手に入れようとする傲慢な権力者を、地獄の閻魔庁になぞらえて風刺しているといわれています。

「根南志具佐」は3000部も売れ、その数は当時の平均的な本の売り上げの10倍近かったそうです。

「べらぼう」のドラマでは、蔦重が「河岸見世」という下級遊女に身をやつしてしまった朝顔のために、「根南志具佐」の読み聞かせをしているシーンがSNSでも話題になりました。

病床に伏し辛い日々を送る朝顔にとって、江戸のベストセラーのストーリーを聞いているひと時だけは、物語の世界に思いを馳せて楽しめたのかもしれません。

それだけではなく、わざわざ自分のところに足を運んで読み聞かせをしてくれた蔦重の優しさや温かさも胸に染み入ったのではないでしょうか。

 

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