美青年に惚れた閻魔大王!大河『べらぼう』で蔦重が遊女に読んだ平賀源内の男色小説『根南志具佐』の内容とは?:2ページ目
美しい女形に一目惚れした閻魔大王
話は、絶世の美青年で女形・瀬川菊之丞(せがわきくのじょう)に夢中になった若い僧侶が、菊之丞に貢ぐために師匠の財産に手を付けるなど悪事三昧の上に死んで地獄にやってくるところから始まります。
「男が男と交わるなどもってのほか!」と男色を大否定し、僧侶に重い刑を課そうとする閻魔大王。
地獄の転輪王が「男色など、女色に比べればたいしたものではない。女色は『甘き蜜』、男色は『淡き水』のようなもの……無味の味は、佳境に入った者しか味わうことができないそうです」と進言します。
そして、僧侶が地獄まで持ってきた瀬川菊之丞の絵を「そこまで評判の美青年ならひとめ見てみたい」と閻魔大王にお願いします。
「俺は見ないぞ、好き勝手にしろ!」と目を隠す閻魔大王。
転輪王が絵を壁にかけたところ、あまりの菊之丞の美しさに地獄の従者たちが一斉にどよめきました。気になった閻魔大王は、こっそり薄目を開けて菊之丞の絵を見てしまいます。
「こんなに美しい姿は菩薩もかなわない!」と、閻魔大王は、高い玉座から転げ落ちるほどの衝撃を受けます。
菊之丞に一目惚れしなんとか側に置きたいと願うも、菊之丞の現世での寿命はまだまだ先です。
そこで、閻魔大王は配下の者に頼み、菊之丞を溺れさせて地獄に連れて来るように命じます。ところが「菊之丞を殺せ」という命を受け侍に化けた河童が菊之丞に恋をしてしまい……というお話です。
実際、平賀源内は二代目瀬川菊之丞と恋仲だったという噂もあります。