【朝ドラらんまん】要潤演じる田邊彰久のモデル!東京大学理学部の初代教授・矢田部良吉の生涯③
日本古来の漢詩から新時代の西洋詩へ!『新体詩抄』を発表した思惑
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【朝ドラ らんまん】要潤演じる田邊彰久のモデル!東京大学理学部の初代教授・矢田部良吉の生涯②
前回の記事はこちら[insert_post id=199887]外務省の役人として渡米とコーネル大学への入学教員となった良吉ですが、決して自身の学識に満足はしていませんでした。より一層研鑽…
良吉は、新しい時代の明治にあって、より開化的な発想の持ち主でした。朝ドラでも描かれていますが、植物学だけでなく、西洋詩の影響を強く受けていたようです。
当時の日本では、まだ和歌や俳句、漢詩などの定型詩が強い影響を持っていました。
一方で幕末ごろから自由な詩が日本で詠まれるようになり、明治に入って西洋詩が漢詩に和訳される形で日本に紹介されています。
やがて良吉らは、日本に新しい詩を導入すべく動き始めました。
明治15(1882)年、良吉は共に留学した外山正一や井上哲次郎とともに『新体詩抄』を上梓します。
同書は、日本の詩歌の花鳥風月や叙情とは違って、思想的や抽象的な内容を含んだ詩を掲載。訳詩14編、創作詩5編という内容でした。
その半分にあたる9編が、良吉によって製作。そのうち6編が英語の翻訳詩、3編は創作詩となっています。
良吉らは、西洋詩である「poetry」を日本に翻訳して模倣することで、従来の日本の詩歌とは違った新しい韻文の確立を目指していました。
朝ドラでは、良吉がモデルの田邊教授がシェイクスピアの『ハムレット』を教授室に置いていましたね。
良吉自身、ハムレットの一節を試訳して『新体詩抄』に寄稿しています。
このとき、良吉はペンネームを「尚今居士」と言う和風なものを使っていました。「尚今」は、今と尊ぶ意味があるそうです。