「鎌倉殿の13人」破れて砕けて裂けて散るかも…第39回放送「穏やかな一日」振り返り:3ページ目
初登場から父に疎まれがちな北条朝時
さて、義時が心を許せる太郎に対して、どうも可愛く思わないのが次男の北条朝時(演:西本たける)。前室・比奈(演:堀田真由。姫の前)との間に生まれた子です。
「ひどい女子(おなご)に引っかかってしまって……」
実朝の元へ側室候補として召し出された“よもぎ”(演:さとうほなみ)に手を出して捨てたらしく、更には御所の女房(こっちが本命の模様)にも手を出したとか。
「どういうつもりだ。御所にお仕えする女房に手を出すとは」
父親らしく叱りつける義時。でも考えてみれば、義時だって比奈(『吾妻鏡』では御所に仕える女房・姫の前)に対して、似たような(何なら一年以上もしつこく恋文を出し続けるという、より悪質な)ことをしています。
「父上から、どうか鎌倉殿にとりなしていただけませんか」
当時、義時は頼朝に取りなしてもらって姫の前との結婚にこぎつけたのです。恐らく朝時はそれを母から聞いたのでしょう。
しかし、義時は息子の願いを鼻で笑います。
「フッ……軽々に私を頼りおって。お前には父を超えようという気概はないのか」
偉そうに宣いますが、じゃああなたが今の朝時と同じ年ごろ(10代後半)の時、あなたはお父上を超えようとなさってましたっけ?とお訊きしたいところです。
まぁ、この辺りの描写は「未熟だった昔のことなどすっかり忘れ、権勢に驕っている」義時の傲慢さを表現しているのでしょう。
自分にまっすぐ楯突いてくる(でも、自分の存在を脅かすことは多分ない)泰時は可愛い一方、自分の存在を恐れて卑屈な朝時は気に入らない義時。
あまり可愛がられて来なかったため、ずっとのえ(実際にはその下女)の元で育てられた朝時は、母親と違いあまり品の良い人物には育ちませんでした(その辺りも、義時が疎んじる一因なのかも知れません)。
干し果物?をつかみ取って頬張る朝時。「下品な人は嫌い」と辟易する“のえ”に対して、初(演:福地桃子。矢部禅尼)は「母上は上品な方でしたけどね」と一言。
これは「育ての親≒のえに似たのだろうよ」という遠回しな皮肉。この二人は、いいコンビ(意味深)になれそうですね。