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「鎌倉殿の13人」野望むき出しの比企一族。義時は阻止できるか…第31回放送「諦めの悪い男」予習

「鎌倉殿の13人」野望むき出しの比企一族。義時は阻止できるか…第31回放送「諦めの悪い男」予習:2ページ目

比企能員の変と、一幡の最期

そして9月に入り、頼家の病気はいよいよ重篤となり、どんな祈祷も治療もまったく効果がありません。

將軍家御病惱事。祈療共如無其驗。依之。鎌倉中太物忩。國々御家人竸參。人之所相謂。叔姪戚等不和儀忽出來歟。關東安否。盖斯時也云々。
※『吾妻鏡』建仁3年(1203年)9月1日条

「いよいよ鎌倉殿が危ないらしいぞ、急げ!」

何を感じたのか、諸国から御家人たちが続々と鎌倉へ集結。鎌倉じゅうが騒然となりました。

人々が言うには「いよいよ叔父(義時)と甥(頼家)の不和が表面化するのではないか」すなわち「ついに鎌倉殿へ愛想を尽かした北条のクーデターが起きるのでは」とのこと。

鎌倉殿につくべきか、あるいは北条氏についた方がいいか、御家人たちの思惑も交錯したことでしょう。

そして運命の9月2日。時政は能員をおびき出して暗殺し、一気に比企一族を攻め滅ぼすのでした。

※比企能員の暗殺・比企の乱についてはこちら:

比企能員、暗殺計画!北条時政の命により仁田忠常と天野遠景は…前編【鎌倉殿の13人】

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比企能員、暗殺計画!北条時政の命により仁田忠常と天野遠景は…後編【鎌倉殿の13人】

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「頼家様の回復を祈願する薬師如来像が完成したから、ぜひとも法要にご参列下さらんか……」

こんな見え見えの罠でしたが、能員は「あえて余裕と度量を見せてやるよ」とほぼ丸腰で行ったところを殺されてしまいます。

比企谷(ひきがやつ。現:鎌倉妙本寺)に立て籠もった残党らを討ち滅ぼし、炎上する館の中でせつ(演:山谷花純。若狭局)と一幡は最期を遂げたのでした。

ただしこれには諸説あり、『愚管抄』では義時が一幡を匿い、11月3日になって藤馬(とうま)という郎党に殺させたと記述されています。

サテソノ年ノ十一月三日。終ニ一万若ヲバ義時トリテヲキテ。藤馬ト云郎等ニサシコロサセテウヅミテケリ。
※『愚管抄』第六巻より

【意訳】さて、建仁3年(1203年)11月3日。ついに義時はそれまで匿っていた一万(一幡)若君を藤馬という郎党に刺し殺させ、その遺体を埋めさせたのでした。

この藤馬という郎党が善児(演:梶原善)の跡継ぎとして育てられたトウ(演:山本千尋)のモデルではないかとの推測もありますが、どうして義時は一幡を匿い、そして結局殺したのでしょうか。

恐らくは政子らの意向で何とか助けたいと思っていたものの、比企一族に連なりそしてかつて鎌倉殿の最有力候補であった一幡を生かしておけぬとする時政らの圧力に屈したものと考えられます。

かくして「比企の乱」は集結し、次の鎌倉殿は千幡に決定するのでした。

終わりに

が、頼家の病状が奇跡的に回復。目を覚ました時には嫡男の一幡も後ろ盾であった比企一族も滅び去ったと知らされ、愕然とします。

「おのれ北条め、謀りおったな!」

怒りに燃える頼家は、さっそく和田義盛(演:横田栄司)と仁田忠常(演:高岸宏行)を召し出して「時政を殺せ」と命じるのですが……今回はこの辺りで。

鎌倉の主導権を比企一族から奪取せんがため、北条一族が起こしたクーデター「比企の乱」。大河ドラマでは主人公である北条が正義のように描かれているものの、『吾妻鏡』を読む限り時政の狡猾さは十分に伝わります。

その辺りを比較しながら、次回は比企一族の最期を見届けたいところです。

※参考文献:

  • 『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 後編』NHK出版、2022年6月
  • 『NHK2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人 続・完全読本』産経新聞出版、2022年5月
 

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