「鎌倉殿の13人」義経の苦いデビュー戦、大庭景親の最期、史実との違いほか第10回「根拠なき自信」振り返り
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、3月13日(日)放送の第10回は「根拠なき自信」。
奥州から駆けつけた源義経(演:菅田将暉)がいよいよ初陣。佐竹攻めに武功を立てようと張り切りますが、百戦錬磨の坂東武者たちはそれをなだめます。
三浦義澄(演:佐藤B作)「九郎殿。戦には二通りござってな。しなければならない戦と、しなくてもすむ戦。しなくてすむ戦なら、しないに越したことはない」
そんな大人の意見など耳に入らぬ義経は、早くも周囲と対立することに。
天才軍略家の片鱗を見せたものの……老獪な上総介広常(演:佐藤浩市)の調略によって戦が終わり、せっかくの策が不発に終わってしまいましたね。
まぁ、そう焦りなさんな。これから「しなければならない戦」が、たんと起こるでな……そんな気持ちで、若い九郎を観ていました。
片や、北条義時(演:小栗旬)の「感服いたしました」というフォローに、彼の成長ぶりを感じます。
今回は全体を通して、胃の腑がジリジリするような、陰鬱なもどかしさに包まれていた印象です。
武功を焦る義経と周囲の温度差
何故そなたはヘイトを集めたがるのか……本人に悪気がないからなおタチが悪い。
持ち前の純粋さが、大好きな兄・源頼朝(演:大泉洋)の「坂東の者どもは信じ切ることができぬ」という言葉を真に受けさせたのでしょうか。
いきなりやって来て苦難を乗り越えてきた御家人たちに偉そうな態度をとれば、そりゃ嫌われるのも当然……でもまぁ、彼は二十歳前後の若者。筆者や読者諸賢だって、その頃は生意気盛りだったはず。
義経「ハハハ。経験もないのに自信もなかったら何もできない。違うか」
強がる義経を、北条時政(演:坂東彌十郎)は笑って見守っていたのでしょう。時政は今回、最も共感できた一人でした。
時政「しかし九郎殿は面白い。『経験もないのに自信もなかったら何もできない』とは、よう言うたもんだのぅ。ハハハ。結構々々。うん、ハハハハハ……」
これは嫌味なしで、純粋に若者らしい九郎の心意気を慈しんでいる父親のそれです。
(義時がホッとした笑みを浮かべていることから、そうと分かります)。しかし当の若者である義経にはまだわからず、苛立っている様子。
義時と義経って、年齢がそう変わらないはずですが、こういうところに苦労の差が出るものでしょうか。
ところで義経って、若い時に見ると「ひたすらカッコいいヒーロー」で、少し社会が解った気になると「才能や血統を鼻にかけた、いかすかねぇヤツ」に変わります。
そしてもう少し歳をとると「可愛い若者」になるような気がします。そんな気がしませんか。
北条政子(演:小池栄子)を義姉上と呼んで思いっきり甘えたりいじけたり、膝枕してもらっている姿はとても可愛かったですね。
しかし当時の御家人たちにそんな余裕などありません。頼朝は彼を可愛がっているようですが、やむにやまれず「その末路」をたどる未来が見えてしまいそうなデビュー戦でした。