「男のくせに、料理なんて」
ご高齢の方に多いですが、若い方からも、時折そんな事を言われることがあります。
曰く「料理などの家事は女にさせて、男たるもの本業に専念してバリバリ稼いでこそ、女たちも『内助の功』を誇れるというもの」……とか何とか。
まぁ、せっせと稼いで生計を支えるのは確かに大切ですが、そればかりでは味気ないし、何より自分の世話を自分で出来ないというのは、実に心細く、情けないものです。
むしろ、デキる男にこそ料理の心得があってしかるべきではないでしょうか……という訳で、今回は戦国大名・伊達政宗(だて まさむね)の格言を紹介したいと思います。
勝利をつかむには、兵の心と胃袋をつかむべし
「ちつとも料理心のない者は、情けない心の持ち主である」
『政宗公名語集』
ずんだ餅や凍り豆腐、仙台味噌など数々の名物を生み出したと言われる(諸説あり)政宗の料理好きは、兵糧の開発から始まったと考えられています。
言うまでもなく食事は命をつなぐ源であり、その善し悪しは生き方の質にも大きな影響を及ぼすものですから、ないがしろには出来ません。
古来「腹が減っては戦ができぬ」とは言うものの、それではただ何でもよいから腹に詰め込めば満たされる、と思っていたら大間違い。
「何だよ、ウチの大将は俺たちのことを家畜みたいに思っていやがる!」
部下たちにそう思われてしまったら、勝てる戦も勝てません。
勝利をつかむためには、兵士の胃袋と心も同時につかまねばならないのです。
流石に大将自ら全軍の料理を作ることはなくても、兵士ひとり一人の食事にまで気を配る「料理心」こそ、大将に求められる資質と言えるでしょう。