西郷隆盛の弟・西郷従道には刺青があった?刺青師の間で伝承のように語られるエピソードを紹介!:4ページ目
予言通りにお雪と吉三は再会
その後、明治維新を経て新政府になると、流浪に出ていたお雪は横浜に帰ってきます。そして嘉右衛門に紹介された料亭の女将に身の上話をすると、女将は自分の料亭に出入りしているお客を思い浮かべます。
そのお客は政府の高官でありながら、花和尚魯智深大蛇退治の立派な刺青を彫っているのです。
思い悩んだ女将は嘉右衛門に相談。2人の仲を占った結果、この上ない良い卦が出たことで女将は早速、その高官・西郷従道を訪ねていくのです。従道は喜び、ずっと探していた愛しい人と再会を果たします。
吉三は自分の本名・西郷従道をそこで初めて名乗り、彼の提案によって完成間近だった従道の刺青を仕上げ、お雪は刺青師を引退することに。日陰の身ではありますが、従道のそばに仕えるようになったのです。
さいごに
この話は刺青師の間で伝承のように語られていると、作家・高木彬光が著書「「横浜」をつくった男~易聖・高島嘉右衛門の生涯~」で記しています。そのため、実話かどうかは定かではありません。
ただし、従道の背中に刺青があったという記録は残っていませんが、嘉右衛門が占った通り、従道は初代海軍大臣になり日清・日露戦争を勝利へと導いています。
占いの的中率にも驚かされますが、想い続ける2人の強い繋がりにも感動を覚えるエピソードだと言えるのではないでしょうか。
参考書籍:高木彬光「「横浜」をつくった男~易聖・高島嘉右衛門の生涯~」(2009年)